＜観光客誘致について＞
１．日本政府の取り組み
　安倍政権は３本目の矢として成長戦略を打ち出しており、そのなかで観光立国ニッポンを重点分野と位置付けている。日本政府観光局は、昨年の訪日外国人数が念願の1,000万人を超え、1,036万人にのぼったと発表したが、アジア地域では、中国・マレーシア・香港・タイ・マカオ・韓国に次ぐ７位に甘んじているのが現状だ。政府は2020年に東京オリンピック開催が決定したこともあり、今後６年間で2013年の２倍にあたる「2,000万人」という目標を掲げている。
　1,000万人の外国観光客によるGDP（国民総生産）への貢献は、0.1～0.2％程度と低いが、これが4,000万人を超えると1％近くになるとの試算も出ており、人口減少に伴う国内産業の空洞化を食い止める大きな産業に成長する可能性を秘めている。

２．九州各県の取り組み
◆JR九州のななつ星
　JR九州は、九州各地を巡り、自然・食・温泉・歴史などを楽しむことを目的とした観光寝台列車であるクルーズトレイン「ななつ星in九州」の運航を2013年10月15日から開始した。
　１人あたりの価格は１泊２日で15万円～40万円（車中泊）、３泊４日で38万円～95万円（車中２泊・旅館１泊）で、関東・関西など国内観光客やアジアの富裕層の利用を見込んでおり、九州への観光客誘致の大きな支援になるとの期待も寄せられている。
・列車名の「ななつ星in九州」は、九州の７つの県（福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県）を観光しながら、九州の主な７つの観光素材（自然・食・温泉・歴史文化・パワースポット・人情・列車）、そして７両編成の客車に由来している。

◆熊本県の「くまモン」
　熊本県はくまモンをPRマスコットキャラクターとして採用。2011年にはいわゆる「ゆるキャラグランプリ」の王者となり、今は全国でもその名を知らない人がいないほどの売れっ子となった。いまや熊本県の観光アピールに欠かすことができない存在となっている。

＜九州各県のランク推移から見えるもの＞
島根県が３回の観光認知度調査した資料をもとに、九州各県の推移をランク順に並べ替えたものが下記表２である。

・第３回の調査で九州７県のうち、鹿児島県・長崎県・福岡県・宮崎県の４県がベストテン入りしており、九州各県はまだまだ伸びる余地があるものと思われる。
・くまモン人気で熊本県は10％台を維持しているものの、次の一手を考える時に来ているのかもしれない。また日本有数の湯の町別府や湯布院の大分県が７％台と低いのが気になるところかもしれない。嬉野温泉や武雄温泉、それに吉野ヶ里遺跡のある佐賀県は第42位と低迷しており、全県挙げての観光アピールをしないと、ただ一県だけ取り残される可能性も出ている。

３．まとめ
　今回調査した首都圏の人口（14年１月１日現在）は、3,578万人（東京都1,329万人、神奈川県908万人、埼玉県722万人、千葉県619万人）であり、大きな潜在需要を秘めている。ただ第６位の福岡県から第10位の島根県までは2.3ポイントしか差はなく、各都道府県の観光誘致活動の力の入れ具合如何で、順位変動が続くことになりそうだ。

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