東日本大震災で被災し、今なお仮設のシェルターで暮らす犬や猫などの動物約200匹を、福岡県朝倉市に新設する保護施設に移す計画が5月の開所へ向けて進められている。計画を進めているのは一般社団法人UKC JAPAN。同団体は、東日本大震災発生直後から福島県に入り、飼い主と生き別れになったペットをはじめとする動物たち約1,000匹を救い、神奈川県寒川町に自己資金で作った仮設のシェルターで保護。その後、飼い主に引き合わせたり、飼い主が飼育できる状況にない場合は、同意を得て里親を探すなどの活動を続けてきた。
もともと、UKC JAPANの拠点は京都である。しかし、細康徳代表は、「飼い主と再会しやすいように」と考え、被災地に近い場所でシェルターが作れる場所を探し、寒川町を選んだ。今回の福岡移動計画は、震災発生から3年が経った今も、飼い主と再会できないまま保護生活を送る被災動物たちに、豊かな自然環境のなかでのびのびと暮らしてもらいたいとの想いが込められている。受け入れ先の福岡県で賛同を求める活動を続けている細代表夫人は、「寿命が短い動物たちの1年は、人間よりもとても重い」と訴える。
9日、福岡市内で、細代表夫人とUKC JAPAN推薦人の1人である音楽評論家・湯川れい子氏が面談した。湯川氏との面談のなかで、細夫人は、朝倉市に作るのは単なる保護施設ではなく、動物たちや音楽、伝統文化とのふれあいを通し、青少年の育成に貢献するものにしたいとの構想を語った。UKC JAPANは、本来、ドイツにある動物保護施設『ティアハイム』を日本に建設することを目標としており、朝倉市の保護施設は、それを具現化するものとなる。多くの日本人が、動物たちとふれあうことで生命の尊さを学び、結果、他の先進国からも批判されている「殺処分」をゼロにしようというねらいがある。
細夫人を労った湯川氏は、福岡移転計画にエールを送る。湯川氏は、福島の子どもたちを原発事故問題から守り、林間学校などによる健全育成と学ぶ権利の支援を行なう『ふくしまキッズ実行委員会』で支援委員を務めるなど、献身的な被災者支援活動を続けている。震災から3年が経った今も、ふるさとに戻れず、仮設住宅での暮らしを余儀なくされている人々がいる。「復興」という言葉が遠く感じられるなか、生き別れの"家族たち"が幸せに暮らすこともまた、大きな支援になるのではないだろうか。
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