標高約1,900mの高原にある雲南省の省都、昆明。標高が高い昆明は、アメリカ・ボルダーやスイス・サンモリッツと並んで、長距離陸上選手が高地トレーニングの場として利用している。低酸素の環境では筋肉への酸素の供給が制限されるため、平地に比べて相対的に運動強度が高くなるためだ。高橋尚子選手や野口みずき選手も現役時代、トレーニングのため昆明を訪れている。
昆明をはじめ雲南省は広大な自然や農村地帯が広がり、様々な少数民族が住んでいることから、文化も多様だ。北京や上海から、余暇を楽しむ場所として人気が高い。なかでも見どころは、石が多く林のようになっている「昆明石林」だ。高さ20~30mの石柱が台地に林立、2007年に「中国南部カルスト」としてユネスコの世界遺産に登録された。
また雲南省は、中国テレビのドラマロケ誘致にも積極的で、北京舞台のドラマでも、登場人物が「旅に出る」設定が作られ、雲南省はたびたび登場する。中国人の間で昆明は「自然も豊かだが、市街地はスリが多い」というイメージも強い。その悪名通り、ドラマでも「登場人物がスリに遭い、現地の人に助けてもらう」というパターンがよくある。中国で人気のドラマ「北京愛情故事」では主人公が昆明を旅する途中、強盗に遭遇、さらに現地警察官の勘違いで拘留され散々な目に遭うというシーンが描かれている。
昆明から約600km、同じく雲南省の麗江も人気が高い。06年に日本でも公開された高倉健氏主演の映画「単騎、千里を走る。」の舞台になった街だ。昆明よりさらに「田園風景」が広がるが、中国都心部で暮らす若者にとっては余暇を過ごすのみならず、「金を稼いで資金を作り、のんびりとした麗江で民宿を経営したい」というのも「夢」の1つだと言う。
その他、雲南省には、チベット族の文化が色濃い3,000mの高地・香格里拉(シャングリラ)や、タイ族と中国文化が溶け合う自治州・景洪なども人気だ。福岡からの昆明へのアクセスは、上海経由が便利で、麗江や香格里拉へ足を伸ばす場合は、昆明からの乗り継ぎで行くことができる。
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