福岡市は、150万の人口を有し、大阪以西では最大の都市だ。企業や行政機関に加え、大学・専門学校なども多い。若い人が多い活力ある街という印象を持たれている。一方、車で30分も走れば、自然あふれる地域が広がり、退職後は、福岡市に移住したいと考える人も少なくない。しかし、その福岡市の市政はというと、飲酒運転をはじめ市職員の不祥事が絶えず、その根本原因の1つが、高島宗一郎市長の資質・姿勢にあるという声が高まっている。二元代表である議会はどのように考えているのか。今回は、みらい福岡代表の笠康雄市議に話を聞いた。
<市立学校のごみの回収はいまだ市職員>
――行政には、外部からなかなか見えづらい部分があります。
笠 我々議員も知らない部分があります。民間の事業系のゴミ収集については、12社しか使ってはならない事になっています。福岡市立学校のごみの回収は、いまだに正規の市職員が行なっています。どうして民間の業者にさせないのでしょうか? それもようやく我々の主張に沿い民間委託へ舵を切ろうとしています。人件費の部分は大きいです。議員報酬の削減も、私たちの会派が言い出しましたが、議会内の議論は、労組の支援を受ける社民党が反対。自民党も反対でした。しかし最終的には承認していただきました。
私たちみらい福岡は、議長宛に議会改革の提言書も出しました。2012年に議長に出しています。その中の項目に、議会費による海外視察費の廃止を主張しています。どうしても海外視察をしなくてはならない必要性があるならば、政務活動費で行けばいいのです。そのための政務活動費だと思います。
海外視察には、私たちと公明党と共産党は行なっていません。自民・民主・それから社民党が海外視察費を利用して海外視察に行なっています。それから本会議場の質問方式の選択を提言しました。一問一答と一括方式とに選択を可能にすべきとしました。そして議員報酬を削減。さらに決算・予算の特別委員会の放映も主張どおり、実現しました。議員定数の削減は次の課題となります。14年度には議論が始まるでしょう。最後に議長・副議長の公用車運転業務の民営化も明記しています。
<地域会派として独自の道を行く>
――地方議会は、中央とは違うと思いますが、地域会派としてどう思われますか。
笠 どうして我々他都市が競争するのか。それは、この街は、なんかおもしろいよね、と興味が沸くまちづくりをしなければ競争に生き残れないからです。今はどこへ行っても、同じようなコンビニや大型スーパーだらけで、日本全国似かよった、そういう街ばかりになっています。金太郎飴でいいのか。地方議会も、自民、民主、公明、共産といった既成政党ばかりで構成されていれば、必然的に似かよってしまうのではないでしょうか。私たちは、今までの政党とは異なる要素を持ったローカルな会派として、何か違うことをやっているよねと市民に提示できる部分を作っていきたい。
それが市民に対する何よりの議会のアプローチだと思っています。まだまだ不十分かもしれませんが、そこで中央の政党と違うものを目指しています。
<守りに入らず、常に改革を忘れず>
――やはり、行財政改革は必須ですね。
笠 うちの会派はみんな勉強熱心です。自分の持分の中で、各議員が取り組んでいます。民にできることは民に任せようということです。小さくてスリムな、そしてフレキシブルな行政体を作っていく。この事が、これから迎える少子高齢化時代に必ずやり遂げなければならない必須の政策項目であります。
組織を守りだしたら、衰退の方向に行くのではないでしょうか。どこの政党であろうが、やはり国のためです。そこを見極める必要があります。我々も同じで、会派を守るのが目的ではありません。みらい福岡は、ゆるやかな連合体です。常に忘れてはいけないのは、改革です。会派は二の次です。改革をやるのは、ものすごいエネルギーを要します。あまり目立ちませんが、地道に取り組んでまいりたいと思います。
<三角市議「民にできることは民に」>
インタビューには、途中から同会派の三角公仁隆市議が加わり、次のように語っていました。
三角公仁隆市議 我々の方針が市政に反映されています。民にできることは民に任せたらいいのです。官、つまり市がやることは、企画部門と監督管理業務だけでいいはずです。ところが、改革を謳うと選挙に響いてきます。現業の職員とその家族が反対します。私たちの会派はマイナスとわかっていても出します。私も小学校の給食業務の民営化を訴えるのは、選挙に弱いのに大丈夫かと代表に心配されました。でも、わかりやすい政治をやらなければ、市民の心をつなぎとめられません。コアな部分ばかりではいけない。分母を増やす。地味なことかもしれませんが、できることをやっていく。
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