<第1号店のオープンで確信した使命>
その後、筑後市を中心に顧客が広がり、幾多の道のりを経て2000年1月1日。同社の設立から1年半で、社員10名体制となり、地元の筑後市にて第1号店のオープンを迎えた。当日は、みぞれまじりの雪が降るほど九州地方は悪天候であった。玉木代表も「悪天候で厳しいだろう。10名お越しいただければ御の字かな」と胸中で思い、応接室でコーヒーを飲んでいた。だが、10時を過ぎると誰も社員がいない。呼んでも返事がない。外に出てみると、駐車場がいっぱいで来場客の誘導に、社員が一生懸命に対応していた。また、通りにも駐車場に入りきれない車が列をなしていたという。悪天候にもかかわらず多くの方々が来場してくれ、玉木代表は気づいたときには涙していたという。
坪単価25.8万円『いい家でしかも安く』の家は、当時の業界では非常識であった。それでも、多数の来場客の応対をしながら、玉木代表は「自分のやっていることは、間違っていない」と確信。同社の家を全国の方々に提供することが使命であると感じた、第1号店のオープンの日であった。
<意識改革の実践>
営業から設計および建築工程における家づくり全体のコストを徹底的に管理し、高品質で低価格の実現に邁進する同社。同社と利害関係がまったくないある建設関連の会社の代表が「家を建てるならタマホーム」を言わしめるほど、同社の住宅の品質は認められてきている。
そして、コスト管理とともに同社が力を入れたのが、社員と職人の意識改革である。それは、長年の住宅業界の慣習の撤廃である。まずは社員と職人に対して『施主=お客さま』という意識を徹底させた。発注主である施主がお客さまであることは当然だが、当時の建設・住宅業界では職人気質からくる横柄な態度が数多く見られた。そのような長年の慣習がまかり通った意識を、一切撤廃した。施主に対する言葉づかい、そして施主が職人などの家づくりに関わる者へお茶菓子や食事を提供する慣習も同社では廃止した。
玉木代表は、「施主であるお客さまは、大金をかけて弊社で家を建てていただいているのです。そのお客さまに、目に見えない負担をかけるわけにはいきません」と述べている。商売ではお客さまのことを第一に優先することは当たり前だが、住宅や建築の世界ではその意識が薄かった。その意識改革を実践したことも、同社がメジャーになった大きな要素である。
<COMPANY INFORMATION>
■タマホーム(株)
代 表:玉木 康裕
所在地:東京都港区高輪3-22-9
設 立:1998年6月
資本金:43億1,014万円
売上高:(13/5連結)1,523億2,300万円
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