【特別取材】カンボジア経済視察 港町シアヌークビル
アンコールワットに地雷とポル=ポト。そう、その国はカンボジア。近年は積極的な外国投資の呼び込みと安価で豊富な労働力を背景に安定した経済成長を遂げている。日本企業の進出が相次いでいる同国を視察し、経済を中心に知られざるカンボジアの現状と魅力を報告する。
<カンボジア唯一の深海港>
プノンペンから車で約4時間。南西へ約230キロ走ったところに、カンボジア唯一の深海港、シハヌークビル港がある。バンコクとホーチミンの中間に位置し、急成長を遂げるカンボジア産業にとって極めて重要なポイントである。またカンボジアで最も状態のよい国道4号線でプノンペンとつながっている上に、鉄道を通じてプノンペン首都圏までも物流が可能である。空運では、アンコールワットのあるシェムリアップとシハヌークビル間で定期便が就航しており、将来的にはプノンペンとの運行も計画している。以上のように、ロケーションは抜群である。
また、海沿いに目をやると、美しい白砂の海岸をはじめ、自然豊かな島々も点在しており、カンボジアで最も人気のあるマリンリゾートである。ダイビングに、釣り、クルージングなど、特に欧米からの観光客に人気が高く、欧米人の保養地として定着しつつある。
そんな町の港湾を歩いた。無数のコンテナと休む間もなく稼働しつづける巨大クレーンに圧倒された。港湾の整備により、貨物取扱量は順調に伸びている。2004年に約150万トンだった貨物総取扱量は2013年には約301万トンと倍増。主な輸出品は縫製品、靴、米、トウモロコシ、魚介類。輸入品は燃料、縫製品・靴の原材料、機械、セメントなどだ。特に同地一帯は水産物の水揚げも多く、冷凍輸送設備が充実すれば、日本への輸出も期待できる。近くのレストランでは大ぶりのシャコが各テーブルに並んでいた。同地の特産品だと聞いたが、カンボジアのシャコが日本で食べられる日が来るのかもしれない。
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