現在、高度成長期に建設された道路や橋、トンネルなどの全国各地のインフラの老朽化が進んでおり、今後は補修や、維持・管理の効率化、長寿命化などが課題となってきている。老朽化したインフラを放置することで、重大事故につながりかねない事態となることも予想される。たとえば、2012年に中央自動車道の笹子トンネルで天井板の崩落事故が発生し、多数の死傷者が出たことはまだ記憶に新しい。
そうしたインフラの老朽化対策として、中小企業が生み出した独自技術の活用も期待されている。
土木工事の設計などを手がける(株)道路建設コンサルタント(本社:千葉市中央区、久保正一郎社長)では、炭素繊維のシートを貼った建材ボードをコンクリート壁面に直接貼り付けて劣化を防止する「FKパネル工法」を開発。特許も取得している。
これは、連続炭素繊維シートによる覆工補強工法の特徴を活かして、繊維シート等の補強材を高強度・軽量かつ耐久性に優れた成型パネルとし、トンネルや橋梁、その他の構造物などを補修・補強する工法のこと。用いられる「FKパネル」は、炭素繊維をエポキシ樹脂でフレキシブルボードに内蔵した構造のパネルで、剥落防止効果を発揮する材料。構造物の老朽化や断面力不足などの構造的な健全度の低下等に対する補強工としての機能はもちろん、コンクリート片や目地落下物の剥落対策等の当て板工として、半永久的な強度の保持にも貢献する。また、電気を通す炭素繊維の代わりに、高強度のアラミド繊維を用いて施工することも可能だ。
国内ではすでに約30件の施工実績があり、首都高速道路でのトンネル補強にも採用されている。さらに同社では、次に韓国市場にも狙いを定めている。2010年からは韓国の建設技術コンサル会社と組み、韓国高速鉄道(KTX)のトンネルを補強する工事での需要を見込んでいる。
中小企業の開発した独自技術は今後、老朽化が進む国内のインフラ対策に貢献するだけでなく、海外にも展開されることで、日本企業のインフラ輸出の競争力向上にも大きな役割を担っていきそうだ。
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