三菱地所レジデンスが事業主として、東京・南青山に建設していた最高級マンション「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」に欠陥が見つかっていた問題で、17日までに同社は、ゼネコンの鹿島建設が解体と建設費用を全額負担するかたちで建て替えすることを決めた。今月15、16日に行なわれた契約者向け説明会でその方針が伝えられた。
パークハウスグラン南青山は、価格帯が1億4,000万円台を中心とし、最高で3億5,000万円という高級物件。南青山という都内でも好立地、しかも一流ブランドのタッグということもあって、高値にも関わらず欠陥発見時には86戸中83戸が売れていた。当初の引き渡しは今月20日の予定だった。
しかし、昨年12月、内部事情を知る者と見られる匿名人物が掲示板に問題点を書き込んだことから、多数の「コア抜き」で施工に不具合があったことが発覚。全部で6,000カ所必要だったスリーブ(配管用の貫通孔)が、約600カ所も施工図通りに開けられておらず、補修でも建て替えでも長い年月が必要と判断し、販売停止に追い込まれていた。
両社の説明によれば、今回のミスは、サブコンの関電工がスリーブの開け忘れや位置間違えを起こし、それを鹿島の現場所長が独断で必要箇所に穴を開け、さらにそれを周囲に報告していなかったことで引き起こされた。
まさに前代未聞の事態。契約者にとって「なぜ一流ブランドの最高級物件でこんなことが」と寝耳に水の出来事だった。「補修だけでは住む気になれない」と思う契約者がいたとしても、何ら不思議ではない。そうした意見も、以前の契約者向け説明会では出ていたようだ。
正確な建て替え期間については不明だが、概ね3~4年を要する見込みだ。
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