福岡へのアジアからの観光客は年々増加しており、福岡市内でも多くの外国人旅行客を目にする。外国人観光客の中で一番多いのが韓国からの訪問者。街中には中国人も多いが、中国人の場合は、高い割合を「留学生(生活者)」が占める。留学生に比べ観光客は「テンション」が高く、短く限られた時間のなかで、より濃密に街の魅力を知ろうとする。テンションが高い分、購買力も旺盛で、「せっかく来たのだからいろいろと買ってしまえ!」という心理状態にある。ある韓国人行政通訳者は言う。「韓国人旅行客にとって福岡の人気スポットは『大名』です。天神からも距離的に近く、百貨店群にはないような店が揃っている。『日本の魅力の奥深いところを知りたい』という欲求も満たしてくれる」と指摘する。
たしかに大名はこぢんまりとしている。しかし、若者のファッション、装飾品を扱う店がありつつ老舗の醤油店や饅頭店など、日本の『最新』と『伝統』を兼ね備えた場所でもある。フレンチトーストなど、日本の『流行グルメ』を提供する店も多く、韓国人向けの福岡版には、「大名」が取り上げられているガイドブックも少なくない。
韓国人通訳者がさらに続ける。「大名は距離感としても最高。天神から歩いて10分圏内。天神の百貨店や免税店を巡る前後に『大名』を歩き、買い物やカフェに寄ることもできる。天神にホテルがあれば、大名で購入したものを一旦、ホテルに置いて再び買い物もできる。位置としても最高だ」韓国にも店舗を持つ「ZARA」「H&M」も人気と言う。「韓国に店があるのに、なぜ日本で行く必要があるのか?」と疑問に思うかもしれないが、「品揃えの種類が違う(韓国人通訳者)」とのことだ。韓国ではピンク、ブルーなど鮮やかな色合いが多いが、日本ではグレー、ブラウンなどシックなカラーが揃っている。「日本に行ったついでに日本式の色合いを揃える」という考える韓国人客もいるという。
さらに、天神地区の百貨店でも韓国にあるものと同じようなメーカーが並ぶが、「『靴』は日本の方が派手で、品揃えの数量が多い」とのこと。日本人が韓国へ旅行する際は、その「逆」を考え、うまく買い物したいところだ。
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