富士経営グループ
安倍晋三政権による経済政策『アベノミクス』で、我が国の経済の景況感が上昇した。円安の進行を背景にした企業業績の回復。公共投資の拡大での建設や不動産業界の復調。消費税増税を控えた駆け込み需要による小売業種の堅調な推移など...今後も大震災の復興事業、2020年の東京五輪などの特需による経済効果が見込まれる。だが、それらの恩恵の大半は業界の大手企業にもたらされ、現況、我が国の経済を支えている中小企業には好転は見られない。「中小企業に対する我が国の根本的な構造や仕組みの問題です」と富士経営グループの崎田松男代表は語る。強い中小企業の育成に本格的に取り組み、本当の経済活性化へ貢献する崎田代表に決意を語っていただいた。
<中小企業が主役になる仕組みづくりの必要性>
富士経営グループの崎田松男代表は、38年間にわたって福岡地区を中心とした企業の再生事業に邁進している。単なる机上の理論ではなく、企業の現場の中身をきめ細かく分析し、極力自主再建での手法でクライアントとともに歩む、血と心が通った再生事業を構築することで有名であり、手がけた企業は650社を超える。それは、金融機関などのステークホルダーからも「富士経営さんがサポートされているなら安心」という言葉の通り、高い信頼度を誇る。また、25年間にわたり経営者の育成塾を開催し、408名の卒業・門下生を輩出し現在に至る。
これらの経験を踏まえて、崎田代表は改めて中小企業の存在の重要性を説く。
「我が国の中小企業数は、全企業数の98.6%になります。そのうち、約85%の中小企業の財務体質は赤字です。製造業であるモノづくりをはじめとしたすべての業界において、大手企業が潤う仕組みとなっています。経営努力や商売の才覚という面もありますが、中小企業の赤字の原因は、大手企業主導の経済活動の構造的な問題です。たとえば、ある中小企業が秀逸なアイデアで製品を設計して製作していたところ、『大手筋の得意先がその著作・特許権などの権利の合同発案者として明記する旨の契約を締結させられました。そして、製作は当然発注してくれるものであると思っていたら、海外など安いコストでつくれる下請に発注した』――そういった類の話は、残念ですがよく聞きます。これでは大手企業だけが儲かって、中小企業は全然光が見えません。優秀な知的財産や技術およびノウハウなどを有する中小企業を、国家が全面的に支援し発展できる土壌をつくることが肝要です。公正取引委員会によると、独占禁止法で取引上優越した地位にある委託者が、受託者に対して不当に不利益を与える行為を禁じています。先ほどの内容は、それに該当するでしょう。今後、類似するケースが発生した場合、同法での罰則をさらに強くすべきではないかと思います。繰り返しますが、秀逸な技術や意匠などの知的財産を持つ中小企業を防衛して、中小企業が主役になる仕組みを明確に打ち出さねばなりません」。
<ドイツの中小企業に見習う>
中小企業の地位が確立されている一例として、我が国と近い企業構造であるドイツが挙げられる。約370万社のうち99%が中小企業であるドイツでは、中小企業の地位が大企業と同等であるケースが数多く見られるという。同国の中小企業は、各分野での特殊な技術・技能、ニッチ、イノベーションなどの高い力を有した製品が多数存在する。それらの製品で大企業と対等に交渉し、また海外とも直接交渉してビジネスを展開する。それらは、同国のマインドセット、技能、歴史、そして地方分権という哲学の土壌が整っていることが、強い中小企業を生み出した同国の企業活動の中核となっている。
崎田代表は、中小企業が自立した事業で経済活動ができる仕組みをつくることが急務であることを、このドイツの事例を踏まえながら説いている。
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<COMPANY INFORMATION>
■富士経営グループ
代 表:崎田 松男
所在地:福岡市中央区天神2-14-8
設 立:1976年10月
資本金:1億3,500万円
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