福岡市と福岡エレコン交流会は、3月17日、福岡市内で「福岡市ヘルスケア産業参入セミナー「『医薬品・医療機器等法』基礎から法制度整備の最新情報」を開催した。
昨年11月「改定薬事法」が成立し、「医薬品・医療機器等法(正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」として今年11月下旬に施行されることを見越して開かれたもの。約90名が参加した。
<ITCの医療機器業界への参入で期待されるもの>
今回のセミナーには、ITC分野で発展が期待されるヘルスケア産業について、情報を業界内でより速く共有し、ITCによって日本の地域医療の推進を実現させたいという、主催者側の目的があった。
経産省商務情報政策局ヘルスケア産業課医療・福祉機器産業室の山田裕介室長補佐は、「法改正後、いち早く福岡市に呼ばれた」と述べ、本人自身、この件に関しては法改正後初めての講演を披露、「医療用ソフトウェアに関するルール整備の最新情報」を紹介した。
講演の中心となったのは、薬事法改正によって「今まではハードに組み込んだソフトが規制の対象になっていたが、改定後はソフトウェアだけで法規制の対象になること」「略称は『医薬品医療機器等法』となること」「平成26年秋に施行されること」の3点。
施行に向けては、現在、3つの組織が動いている。その組織とは、経産省、厚労省連携の「医療機器開発ガイドライン事業(医療用ソフトウェアWG委員)」、経産省、厚労省、総務省連携の「医療用ソフトウェアに関する研究会」、そして厚労省が設置する「医療機器に関する単体プログラムの薬事規制のあり方に関する研究」。各々情報交換を行ないながら、産業界における自主基準を作成中である。認証のあり方など、業界自主ルールの具体的な運用方法が検討されており、医薬品医療機器等法施行に合わせた運用開始を目指して取り組んでいることなどが説明された。
続いて(公社)医療機器センター附属医療機器産業研究所の石黒克典上級研究員が「『医薬品・医療機器等法』基礎-薬事法の改正により何が変わるか-」について、講演。「医療機器市場の動行と国の施策」、「薬事法/医療機器規制の概要」、「薬事法改正(医療機器規制の動向)」などについて説明した。
参加者からは、「開発したソフトウェアが『医療機器』か『非医療機器』かの判断基準はあるのか」などの質問が寄せられたが、実務対応はまだこれからというのが現状であり、今後、厚労省と相談のうえ、具体化すべき事項が多いことが伺えた。
その後、医療ITC事業に取り組む企業の製品開発やビジネス展開について、正興ITソリューション(株)代表取締役社長の有江勝利氏とAIテクノロジー(株)役員、佐藤寧氏がそれぞれ実例を発表、最後に九経産局地域経済部新産業戦略課の鉾屋一敏係長が、九州ヘルスケア産業推進協議会(HAMIQ)の取り組みについて説明した。
<今年11月までの情報収集が欠かせない>
今回は、キックオフセミナーの感もあり、薬事法になじみがない参加者も多かった。行政側は規制対象外の部分に対しても、利用者の拡大と、企業の新規参入を期待。消費者の信頼性を確保・向上するため業界自主基準を作成、運用することを呼び水にすることなどが検討されている。医療用ソフトウェアへの参入を目指す企業は、常に最新の情報を収集することが必須である。
閉会後、交流会が開かれた。参加者の中からは「ITC産業が医療機器に参入することにより、地域で医療情報の共有も促進される。これが地域医療の発展に繋がることを期待する」という声が聞かれた。参加企業が持参した医療機器などが紹介された。
写真は、参加者が持参した、話者側から難聴者のために音を調整することができる「コミュニケーション・サポートシステムCOMUOON」(NPO法人日本ユニバーサル・サウンドデザイン協会)。
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