福岡市長選挙まで残すところ約8カ月。再選を目指す高島宗一郎福岡市長に対する批判が高まるなか、市長選に向けて各会派の動きも徐々に活発化している。NET-IBは、高島市長の生みの親といわれる津田隆士元福岡市議会議長を直撃インタビューした。
<野党会派にも筋を通してきた>
――津田さんは、8期32年にわたって福岡市議会議員をつとめられました。現在の自民党市議団や議会運営の動きをどのように見ておられますか?
津田隆士氏(以下、津田) 自民党市議団の会長妹尾俊見さんは、紳士ですね。ベテランの稲員大三郎さんは優しい方です。お二人とも人柄がいい。ただ、優しすぎるように思います。とくに、高島市長に対しては、優し過ぎるのではないでしょうか。もう少し、ガンガンやってもいいのではないかと思います。議会軽視が多すぎる。私が、現職のころは、「予算止めるぞ」と言えば、あわてて市長や局長たちが飛んで来ていました。いまは、そんな状況ではないでしょう。
行政と議会の関係の筋論からいえば、議会の正副議長、それから与党会派の会長・役員に、いい意味での根回しをする。そして野党にも丁寧に説明する。桑原敬一市長の時代でいえば、たとえば執行部がこういう議案を出したい、こういう条例を作りたいとする。そうすると、議会の主だった人に、きちんと根回しをしていました。それが今はない。
与党会派ばかりではなく、野党にも説明をしていました。共産党であれば、宮本(秀国)議員に話をする。彼らは反対。でも、反対は承知で、議運(議会運営委員会)で言いたいことをいわせる。当時は、自民党と福政会が与党。公明党は野党だった時代です。野党は、自民・福政が強引なことをしていると言う。彼らにも立場がある。反対があれば、議運でしっかり議論しなければいけない。社会党にも公明党にも共産党にも立場があるんですから。
昔は議長室、副議長室は、各会派の部屋の奥にありました。だから誰が出入りしているか、すぐわかっていた。仁義を切るところは切る。共産党の宮本議員とも、ずいぶん議場でやりあいましたよ。ガンガンやりあっても、お互い様でしゃんとしていました。議会後、 共産党の部屋に行くと、宮本さんは慌てて外で話そうかと出てきたこともあります(笑)。自民党に抵抗する共産党という立場があるからね。そういう関係で、公の場ではお互い立場のなかでものを言っている。だからこそ、相手の立場を尊重しなければならないと思います。
――野党にも目配り・気配りは大切です。行政に対してもそうだと思います。
津田 ところが、行政に対してしかりつける事が、議会の役割だと勘違いしている議員がいる。でも、自分の言うことをきかないとおごりあげるのは間違いですよ。職員は、上司の顔を見ている。まだ僕が初当選したころは、何とか先生、かんとか先生の息のかかった役人がいました。大手を振って、挨拶もせずに会派の部屋に入ってくる。我々若手には、知らんぷり。挨拶もしない。そこで、私は「こら、どこに挨拶もなしに入ってきよっとか。どこの人間か」と叱り付けていました。その場が静まり返り、面倒見ている先輩議員が、慌てていました。
職員が市民のほうを向かず、上司の顔色を見て仕事している。将来を考えるから、上に迷惑をかけないことを第一に考える。そしてご注進をやる。昔はそういう役人がいました。僕は、感情で怒るんじゃなくて、礼儀知らずの役人に作法を教えていたのです。そのうち役人を叱ると、怒鳴りあげているといううわさが立ちました。俺が怖いとかいう議員がいたらしいですが、職員が僕のいうことをきかないから怒るのではない。市民のほうを向かずに、仕事する職員に、厳しいことを言うのです。
――たしかに、職員にも虎の意を借りるような職員はいます。行政と議会は一定の距離感は大切です。
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