ゼオライト(株)
<オランダから最新機器を導入、一歩先行く経営で信頼を得る>
「これからの時代はRO逆浸透膜での『造水』ではなく『再利用』です。そのため、我が社も先日台湾の展示会に出向き、オランダ製の機械を購入し、現在、ある企業さまで導入しています」(勝美社長)。
今日に至るまでゼオライト(株)は、恭輔会長と勝美社長の夫婦二人三脚により、幾多の苦境を克服してきた。そのなかで事業を継続できた要因は、常に時代を先読みし、一歩先を行く経営を行なってきたからにほかならない。
「福岡は水道代が高く、井戸を掘り、我が社の技術を利用することで、より良い水を得ることができるほか、大幅にコスト削減も行なえたことが躍進の理由でした。しかし、東京の市場は福岡のように簡単にはいきません。東京は地下水はかなりあるのですが、地下水揚水規制があって井戸が掘れない地域があるほか、沼地が多く福岡とは地質が違うため、アンモニアなどの成分のほか、不純物を含めて、今まで経験したことがない問題に直面しています。そのためにも、新しい機械の導入を決意しました」と恭輔会長は語る。
東京都は近隣の茨城、栃木、埼玉、神奈川、群馬、千葉なども含めると、近年は病院のほか、高齢者福祉施設などの施設が続々と建設されている。東京を含めた関東市場の開拓には、新技術の導入は必然な流れであった。水処理プラントの最大手は、設立からわずか15年で1,000件以上のプラントをつくった東京の(株)ウェルシィであったが、昨年11月、三菱レイヨン(株)が買収し、同社の連結子会社となった。大企業ではない、資本力のない地場の中小企業が生き残るのは、難しい時代になったというのは大げさではない。ゆえに同社は現状に甘んじることなく、常にクライアントのために日々精進しているのである。
<会社の成長に合わせて、優秀な人材の確保が課題>
同社は会社の業容拡大に合わせて、採用も積極的に行なっている。「企業経営は人、人財です。よって中途採用を含めて、大学および専門学校生も積極的に雇用していますが、経験者を含めて現状は足りていません」と恭輔会長は語る。
数年前の年間現場数は30カ所程度であったが、現在は60カ所となっている。現場数は倍に増えているが、遠方などの案件が増えたことで、単純に売上が倍増しているわけではない。今まで以上に、現場では効率化が求められているのだ。20年近く前の創生期は役割分担もなく、社員はすべての業務に対応しなければならなかった。しかし、現在は分業制が進み、それぞれのスペシャリストとして業務を遂行しているのだが、融通が利かないところがネックとなっているという。
「会社の売上が上がれば、雇用も増えます。ですが、人件費が上がれば今度は利益を圧迫させます。仕事の効率化を図ることが、これからの課題です」と恭輔会長は切実に語る。
関東エリアでの本格展開や人材の確保と育成が今後の同社の課題であるが、現在の同社は過渡期にある。前期は、より良いシステム構築のためにも売上高は27億円(約1億円の増収)に留まったが、拠点および陣容もそろった今期は30億円の達成を目標にしている。
「九州でいくらNo.1になっても、業容拡大には限界があります。経営にとってプラスの情報も入ってきません。しかし、東京で名前が上がれば、必ず何か返ってきます。我々はそこを目指していきます」と恭輔会長。
今まで、九州地方を中心に関東、関西地区などのクライアントのリクエストに応え続けることで、同社は信用と信頼を勝ち取ってきた。東京支店は同社の大きな試金石となるが、福岡のみならず、日本を代表する水処理プラント企業であるだけに、社長と会長、嶋村専務および社員が一丸となって乗り越えていただくことを心より期待したい。
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<COMPANY INFORMATION>
ゼオライト(株)
代表取締役会長:河村 恭輔
代表取締役社長:河村 勝美
所在地:福岡市博多区那珂5-1-11
東京支店:東京都荒川区町屋1-38-16
菱興町屋ビル
設 立:1970年8月
資本金:9,000万円
売上高:(13/7)27億2,000万円
URL:http://www.zeolite.co.jp
<プロフィール>
■河村 恭輔(かわむら・きょうすけ)
1934年8月、山口県出身。大島商船高等専門学校卒。工学博士。日刊工業新聞社主催の優秀経営者顕彰である「地域社会貢献賞」を受賞。趣味はゴルフと読書。
■河村 勝美(かわむら・かつみ)
1943年10月、広島県出身。広島県立瀬戸田高校卒。趣味は、生花、自然散策、絵画。
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