従軍慰安婦、南京大虐殺など歴史を蒸し返され、中国や韓国からの度重なる謝罪要求に辟易している日本。はたして「謝罪」によって事が収まるのだろうか?・・・アジア諸国で活動するあるジャーナリストはこう指摘する。「仮に総理大臣が公式に謝罪したとすれば、『責任を認めた』ということで賠償請求がなされる。『当時の被害者』『当時の被害者の家族』が次々と出てきて収拾がつかなくなるだろう。基本的には無視し続け、風化させるしかない」
国家同士の政治対立のように見え、実は「金」が絡んだ駆け引きでもある。かつて、民進党が政権を持っていた台湾は独立を訴え、中国にとっては厄介だったが、国民党が政権を取り返し、中国自体が経済力をつけたことで、現在は中国が台湾を一気に取り込んでしまう勢いだ。そもそも拝金主義の傾向が強い台湾では、「国(中華民国)としてのアイデンティティ」よりも、「食べていければいい」という現実を選ぶ。2008年の選挙で国民党の馬英九氏が総統になり、一部報道では「国民は『独立』よりも『金(現実)』を選んだ」と分析された。
折りしも08年は北京五輪が開催された年、10年の上海万博も控え、中国が「爆発的な経済力」を顕示していた頃である。現在、台湾で「独立」の声が聞かれることは以前より少なくなった。それまでは「毛嫌い」していた大陸からの観光客も、台湾側は「お金を落とすから」と受け入れている。中国から台湾に入る人間も、以前は、タバコのマナーの悪さなどで総スカンだったが、このところはわきまえ、台湾では穏やかな振る舞いをするようになっている。台湾人側も「慣れ」が出てきて、「大陸は嫌いだ!」という人間は減ってきた。
中国が台湾を取り込んだことは、理念や歴史解釈よりも、経済や金に絡んだ部分が大きい。中華人民共和国と中華民国、国民党と共産党など中国、台湾の歴史は単純には割り切れない。「台湾」を国としてとらえるかどうかを「理念」によって規定することは難しいが、「金」「経済力」によって、中国は台湾を押さえ込んでいる。
前述のジャーナリストは「このところ中韓がやたらと日本に噛み付いてくるのは、『日本の経済力が落ちた』ことと無関係ではない。以前は中国が日本に依存しており執拗に絡んでくることはなかったが、中国経済の国際競争力がついてきた昨今、日本に対して歴史を蒸しかえしたり、尖閣諸島の主張をしてきたりしている。史実の有無を今から振り返って証明することは難しい」と指摘するとなると、日本が中国、韓国を黙らせるには、経済力を再建し依存させ「黙らせる」しかないだろう。
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