航空会社スカイマーク(本社:東京都大田区、西久保慎一社長)の新制服が波紋を広げている。
問題になっているのは、2014年5月31日就航のエアバスA330のキャンペーンとして導入した膝上約15センチのミニスカートの新制服だ。13年12月の発表時には、「時代遅れのミニスカート」「レトロというより安っぽくてダサい」「今のポロシャツの方がまだかわいい」などの酷評があったが、ここにきて、「セクハラを誘発するミニとはどんな制服なのか」と俄然、注目を集めている。客室乗務員関係者の団体から迷惑行為を誘発するとの懸念が出され、厚生労働相が3月18日の記者会見で触れるなど、否定的な物議を醸している。
航空会社の操縦士や客室乗務員でつくる航空労組連絡会の専門部である客室乗務員連絡会(客乗連)が「スカートの丈が短いため、背を伸ばす、かがむなどの作業中、まわりの目を気にせざるを得ない」「保安業務に集中しにくい状況が生じる可能性がある」「迷惑行為を誘発しかねないデザインだ」として、2月25日、スカイマークに再検討を求める見解を発表してから、問題が大きくなった。
客室乗務員連絡会の見解は「保安任務を遂行するにあたって支障を生じない事を前提とした制服デザインが求められます」と指摘。迷惑行為を含む安全阻害行為の誘発が危惧される、緊急時に脱出スライトを滑る際、熱によるヤケドなどが想定されるなど、保安業務に支障をきたすとして、厚生労働省、国土交通省に対し、指導を求めた。
「保安要員である客室乗務員を、セクシーな制服で集客のために使うこと自体航空会社としての見識を疑わざるを得ない」と批判している。
田村憲久厚労相は3月18日の記者会見で、「基本的には労使でしっかり話をしていただきたい」としつつ、セクハラという見解もあるので、東京労働局を通じて報告を求める考えを示した。
エアバスA330の運行準備の遅れによって、就航予定が5月31日に延期になったのも話題だったが、新機種導入は離陸前から乱気流に巻き込まれたようである。
スカイマーク広報は、NET-IBの取材に対し「客乗連の見解については、客乗連から連絡をいただいていないので、お話できるものではない。また、大臣のご発言についても、労働局などから何も連絡をいただいていないので、お答えできるものはございません」と回答。制服については、「スカートの丈によって業務への影響はまったくございません」と述べ、デザイン変更する方針はなく、予定通り採用するとしている。
新制服のデザインについて、「A330導入キャンペーンの一環として、シンプルかつスタイリッシュにこだわった結果」(スカイマーク広報)という。デザイナー、ブランドについては公表していない。「膝上何センチか?」との質問には、「サイズはいくつかあり、着る人の体型によって変わるので、お答えできかねます。丈にこだわったわけではありません」と、つれない回答。
新制服は、ワンピースで、青色。同色の帽子と、イエローのスカーフとセット。新制服を着用するのは、5月31日就航のA330機の乗務員のみ。羽田-福岡、羽田-沖縄、羽田-新千歳の3路線で順次、各半年間採用される。
お客さまからの声は、賛否両論。集計しているわけではないというが、「思った以上に注目され、反響をいただいた」(同社広報)と、まんざらでもない様子だ。
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