西日本鉄道(株)(西鉄)
<鉄道事業も苦戦を強いられる>
さて、同社の運輸事業のもう1つの柱が鉄道事業だ。資料を見ていただくとわかるが、鉄道事業も横ばいである。天神大牟田線・貝塚線2線の売上高合計は2012年3月期で198億円となっており、連続して200億円を割っている。輸送人員も9,813万人と横ばいである。
これらをグループの連結で数字を見ると、輸送人員は1億298万人、12年3月期から22万人の減少である。鉄道事業の業績も207億円と約8億円落ち込んでいる。この状態で見ても、利用客の減少と鉄道離れが顕著であることはたしか。
かつて西鉄ライオンズを保有していた時代には、平和台球場へ向かう野球ファンでごったがえしていたと聞かれる。だが、シーズンの際には市営地下鉄線の方が混雑していると個人的に思う。西鉄電車オンリーとはいかない様子だ。このため、バス事業同様、不採算路線の見直しは必須であろう。
グループ全体から見ても運輸事業の低迷は避けられず、運輸事業840億円に対して流通事業809億円、物流事業700億円(いずれも13年3月期現在)と他の事業が猛追している。
今後の展開として、軌道の高架橋耐震強化工事を継続して行ない、安全を最優先した輸送サービスの提供に取り組む。旅客案内表示器の更新を進めるほか、柳川市と連携して西鉄柳川駅の改築および駅周辺の整備に着手するなど、利便性の向上を図るとしている。
さらに、バスや商業施設のほか、地域と連携した企画乗車券を販売するなど、収益力の強化に努めていく方針である。たとえば、毎年2月11日に久留米市城島町で地場酒造業者らによる酒開きが開催され、当日は約1万人が集う。同社から見れば飲酒運転の撲滅の観点からと、割引切符の発売で鉄道の利用促進を図ることができる。
そのほか参拝客でにぎわう年末年始の太宰府天満宮や風情を楽しめる柳川の川下りなど、定番なものも楽しめる。鉄道ならではの利便性をアピールして地域イベントに積極的に参画することで、利用者の増加を図ろうというものだ。
<COMPANY INFORMATION>
西日本鉄道(株)(西鉄)
代 表:倉富 純男
所在地:福岡市中央区天神1-11-17
設 立:1908年12月
資本金:261億5,729万円
売上高:(13/3連結)3,383億円
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