福岡市長選挙まで残すところ約8カ月。再選を目指す高島市長に対する批判が高まる中、市長選に向けて各会派の動きも徐々に活発化している。NET-IBは、高島宗一郎福岡市長の生みの親といわれる津田隆士元福岡市議会議長を直撃インタビューした。
<市長選は現職が決めるべき>
――ところで、高島市長に対する批判が市議会や市役所内部で高まっていますが、高島氏を担いだ立場として、津田さんはどのようにお考えですか。
津田 後輩の議員やよその会派の議員さんから、「次の市長選はどうしますか」と尋ねてこられます。しかし、私がどうのこうの言うことはありません。もう現職ではないし、あなたたちが決めた候補者をOBとして応援できるところは、応援すると言っています。
息子(信太郎氏)も議員だし、引退した私が口を出せば、現職の議員さんたちから煙たがられます。「津田がどうのこうの」と言われるのもよくありません。今は、福岡市ソフトボール協会会長など、スポーツ関係中心に地域に関わっています。現職議員のなかには「もう(ソフトボール協会の)会長職は、息子に譲ったらどうか」という人もいますが、「冗談じゃない。あなたたちが会長になるならわかるけど、なんで息子が会長になるのか」と話しています。僕と息子とでは、議会での期数(任期歴)が違いすぎますからね。
期数が若い議員はともかく、僕と同期だった人たちは、「なんで辞めたのに会長なのかと・・・」と。現職議員で僕と同期の議員たちは、まだ各種団体の会長や副会長でいます。だから、一線を退いた僕がいるのが、おもしろくないのかもしれません。それを感じているからこそ、次の市長選挙のことでも、後輩議員には「現職のベテラン議員やあなた方中堅が相談してやることであって、俺があれこれ言う筋合いではないぞ」と言っています。
ところが、「いや、高島市長は先輩がつくった」などと言い出す人がいます。「違うだろう。俺もお前たちも一緒になって高島市長を生み出した」と反論しています。選挙中も、高島市長には一回も話をしていない。たまに、会合で会えば「元気か」と挨拶くらいはしたけどね。彼には選挙中から、「通るかどうかわからん。俺らは通すために一生懸命やる」と言っていたんですよ。
<政治家は人気取りではつとまらない>
――つまり、津田さんは、高島市政に口を出していないということですか。
津田 選挙中から、ほとんど注文をつけていません。選対会議も私が主導した場では、1時間程度で終わっていました。高島市長には「選挙終わったら、あなたにどうのこうのは言わない」と何度も言っています。僕は、議会と行政は、緊張関係が必要と思っているので、自分主催の会に、行政の人間を呼んだことがない。ただ、自民党の会合で正式に引退表明した後に、僕の新年会をやりましたが、そこに高島市長が来たことはあります。市長は、正月のお祝いと当選のお礼にきました。その際、高島市長は「津田議員は、俺は一切口を出さないと言われて、就任してからも携帯にも電話がありません」という挨拶をしています。
先日、自民・公明・みらい福岡の与党会派と市長の懇談会が行なわれました。息子(信太郎氏)からではなく、別の後輩議員から聞きました。親にも言いたくないこともあるでしょうから、僕も息子に議会のことをほとんど聞きません。ただ、親として息子には「しゃきっとせんか」とは言います。息子は、僕と違って人柄がいいとか、優しいとか言われているようですが、「政治家が、好かれようとか、そんなことじゃつまらんぞ」と話しています。僕は、敵が味方の十倍いました。しかし、誰が何を言ってこようとも負けませんでした(笑)。政治家はそれくらいの気概がないと務まらないのです。
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