野村ホールディングス(HD)は、4月1日付で傘下の野村信託銀行社長に、真保(しんぽ)智絵・野村HD執行役員(48歳)が就任する人事を発表した。国内の「銀行」で、女性がトップに就くのは初めてと見られている。
真保氏は1989年、早大法卒後野村証券(現・野村HD)入社。資本市場部やエクイティ部、秘書室などを歴任し、2010年6月に野村HD経営企画部長に就任。12年から執行役員を務め、現在は経営企画やアジア戦略を担当。社長就任後も野村HD執行役員(バンキング担当)を兼務する。信託銀行は少子高齢化を背景に相続関連などのビジネスの重要性が増しており、グループ戦略として女性社長の登用で、顧客により親しみやすさをアピールする。
一方、大和証券グループ本社は2009年4月、4人の生え抜きの女性執行役員を登用している。幹部社員は圧倒的に男性が多い証券業界では、異例の大抜擢だった。鈴木茂晴社長(現会長)の肝いりで始まった女性活用は、働き方や企業風土にも変化をもたらしている。そのうちの1人である田代桂子常務執行役員(50歳)を大和証券グループ本社の取締役候補(14年6月26日付の株主総会)に内定する人事を発表。
また、みずほ銀行は今月14日、企業の合併・買収(M&A)関連業務を担当する有馬充美部長(51歳)を、4月1日付で執行役員に昇格させる人事を発表した。メガバンクで「生え抜き」の女性役員誕生は初めてと言われる。
有馬氏は1986年京大法卒。旧・第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行し、みずほ銀法人企画部次長などを経て2013年4月から現職。今回の執行役員就任は、取引先の中堅企業に対するM&Aなどの提案能力が評価されたことによる。みずほ銀行は14年度末をメドにグループ全体で管理職に占める女性比率を15%程度に高める目標を設定している。
政府は、夫婦のうち1人が働く世帯の税負担を軽くする「配偶者控除」を見直す検討に入った。
配偶者控除は、夫(妻は専業主婦)が働く世帯の場合、夫の課税所得を38万円減らし、所得税を安くする制度(妻だけが働く場合は逆)。妻の年収が103万円以下なら38万円の控除を受けられる。103万円超~141万円未満も控除を受けられるが、年収が増えるにつれて控除額は少なくなる仕組み。そのため103万円を境に、夫が企業から受け取る「扶養手当」を打ち切られるケースもあり、女性の社会進出を阻む「103万円の壁」とも指摘されている。
安倍首相は、安定的な経済成長には女性の社会進出は不可欠との方針を打ち出しており、それを受けて「夫が働き、妻は専業主婦」という家庭像を前提にした税制を改め、年末の2015年度税制改正に向けて議論することになっている。自民党内には慎重論も根強いが、男性優位の銀行・証券会社の女性役員の登用は、働く女性の地位向上を加速していくことになりそうだ。
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