ある日突然、個人事業主・赤石さんのもとに、まったく見知らぬ会社から1通のメールが届いた。内容をよく読むと、その会社が管理するデジタル画像が、赤石さんのホームページ(HP)で不正使用されているから、「作品の使用許諾をどこから取得したか」「掲載期間はどれくらいか」を確認してほしいという。2通目のメールでは、ついに「お金を支払え」と来た。「身に覚えがありません。どうしたらいいでしょうか?」――赤石さんは法律に詳しそうな知人らにいろいろ聞いてみた。皆、口を揃えて「この請求の仕方はおかしい」という。こんなとき、あなたならどうするか。
<自分に非はないと思うけど>
赤石さんは、「突然のお問合せ失礼いたします。画像倉庫社の田中と申します。御社HPに掲載の画像について、ご確認したい事項があり、お問い合わせメールさせていただきました」というあいさつで始まるメールの内容を熟読した。
「どうやら画像倉庫社とは、プロカメラマンなどから預かったデジタル画像などの著作物をストックしている会社で、それを有料で貸し出すのを事業にしているようだ。私のHPにある画像が不正使用?どれどれ・・・」
画像倉庫社の説明によれば「とあるページに掲載された人物の映っている画像は、当方で著作権が管理されており、使用期間や媒体により料金が決められた」有料レンタルフォトだという。メールには、画像倉庫社側の掲載ページと作品番号も記されている。ちなみに、この画像は赤石さんの本業を直接的にイメージさせるものではなく、挿絵的に使っている。
「お金を支払ってほしい」と画像倉庫社がいう根拠は、「当社で管理している個々の画像の貸出および請求履歴のなかで、この画像を赤石さんのHPで使用するという許諾を与えたデータが見つからなかった」点にあるようだ。
赤石さんはさっそく、画像倉庫社のHPでチェックしてみた。何回検索しても該当の画像が出てこない。
「うん?どうなっているんだ??」
こんな状態で、「HP制作を外部委託しているなら、連絡先と担当者を教えてほしい」などといわれても、応じることなどできない。そもそもHPは自作だし、画像はフリー素材としてウェブ上に出回っているものしか使っていない。
それでも「仮に1ミリでもこちらに非があるなら、すぐに対応しておいた方がいいだろう」と思い、すぐに赤石さんはHP上から削除して、担当者の田中なる人物に連絡した。
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