福岡市長選挙まで残すところ約8カ月。再選を目指す高島市長に対する批判が高まる中、市長選に向けて各会派の動きも徐々に活発化している。NET-IBは、高島宗一郎福岡市長の生みの親といわれる津田隆士元福岡市議会議長を直撃インタビューした。
<若手の不満はベテランがガス抜きすべき>
――自民党内からも不満や批判の声が上がっています。高島市長で次の選挙は戦えるでしょうか。
津田 現職の議員さんや経済界の方々、とくに個人で小さいながらも事業を立ち上げた人たちにとっては、高島市長は歳も若いし、マスコミ出身で軽さが目立つので、批判的に見てしまうようです。しかし、まだ彼は若い。僕は最初から口を出さないといっています。不満については、若い人たちの気持ちを汲んで、現職の中堅どころが動くべきです。
しかし、繰り返しますが、俺がどうのこうのは思っていてもいわない。高島でまとめるには、選挙となれば勝ちますが、若い人たちの気持ちを汲み取る必要がある。ふつふつとした不満が残ったままでは、選挙は戦えません。一部かもしれませんが、ガス抜きをしないといけない。高島市長も今のままなら2期目は厳しい。それはいわないといけない。もちろん、年寄りも不満はありますが、汗をかく人がいない。取りまとめる人がおらん。
吉田前市長に対しては、我々は野党だったのでやりやすかった。吉田氏本人は、自民・公明・みらいに対しても、民主系ではなく、無所属でやりたかったようです。
ところが、民主党市議団が吉田氏を掴んで離しませんでした。聞くところでは、吉田氏は、北九州市長に出たがっていたといいます。しかし、麻生太郎さんがだめだと反対した。
吉田氏も民主党の支援を受けましたが、考え方としては保守の流れです。当時は山崎広太郎市政3期目でした。広太郎さんは、当時職員の9割から嫌われていました。僕は半分くらいだと思っていました。そのなかでも広太郎さんがかわいがっていた職員がいます。今では局長になっている職員もいます。山崎さんが退任後は、僕が面倒を見ました。厳しい言葉をいうのも愛情があるからです。
それなのに、選挙で負けた後、広太郎さんは「政治家(市議会議員)が動かなかった」という話が聞こえてきた。自分の選挙区外までも連れて回って、山崎再選のために動いたのに、なんという言い草かと思いました。落選したのは、結局自分の責任です。
吉田元市長も落選後、一緒に飯を食ってくれといってきた。吉田元市長には「あんた無職だから・・・」と食事して、二次会でワインバーに行きました。その後、吉田氏から「今度は私が奢ります」といってきましたが、断りました。そのとき、ほとんどの議員が吉田氏と飲みくいをしていました。たとえば、太田誠一氏もです。彼が、今度市長に出るでない話があるようですが、99%難しいでしょう。
高島市長のパーティーの発起人を見ると、前回、商工会議所(元会頭)の河部さんなど吉田氏を推した人たちが半分くらいいる。経済界は、実益優先の政治とは違うものの考え方をします。
しかし、不満も少なからずある。だから期数別に、そのガス抜きをやる必要があると思います。ベテランから若手まで何十人といたらいいたいがいえないこともある。市長が前面に出てはまずいから、県警出身の大野副市長以外、貞刈副市長や中園副市長あたりが出て、飯を食べて上手に不満はすくい上げればいい。自民以外の公明党とみらい福岡。これも当選別回数に分かれて会合を行なう。
人の選挙をしない人は、自分のことだけでずっとしない。でも、僕は、息子(信太郎氏)の選挙はほとんどやっていません。俺と信太郎が一緒に挨拶に回ったのは、ごくわずか。僕の引退表明が突然だったので、後援会のメンバーが「落とせない」と必死に頑張っていただきました。だから、今度は大変ですよ。今度は自分の力でどうやるか。お手並み拝見です。
<地域の役職などの人事に介入しない>
――引退してからも市の職員が来られるということでしたが、引退されてからいかがでしょうか。
津田 この事務所は、息子の事務所で、この部屋も息子の執務室です。私の机も何もありません。昼食で降りてくる程度で、用事がない場合は自宅にいます。事務所は身内でやっているので、みんなで弁当を買ってきたりして一緒に食べます。今も事務所には、そこ(事務所入り口)に座っていますが、僕が現職のときの古参のスタッフがいます。
ここにも市や区役所の課長や部長がきます。「信太郎先生、おられますか」といわれる。僕がいたりすると「あ、先生。いらっしゃったのですか」とかいわれます。僕の家の敷地内に事務所を構えています。職員が来れば話はしますが、あくまで事務所は息子のものです。職員は立場上、上司や市議に弱い。そのことは考えなければいけません。たとえば、議員には、職員が直接書類もってくることがあります。「先生ちょっとご相談が・・・」といってやってきます。その時間がもったいない。議会にきたとき会派の部屋で話をすれば十分です。必要な書類は会派の受付の女性に渡せば、必ず目を通します。
話は変わりますが、僕の出身高校は、福岡市立博多工業高校です。同窓会の活動をしております。40代、50代の方が多い中で60代以上は数人です。母校が全国大会に出たりするならば、応援する意味で同窓会から支援しています。通常なら1万円ですが、5万円出すとか思い切ったことをしています。それを批判する人たちがいます。しかし、一円たりとて疚しい金を使った覚えはない。人を信頼して任せないと。誰がボランティアでやりますか。
地域の活動も報酬が絡む役職となると、いろんな人の思惑がからみます。公民館長などお金が出ますからね。でも僕は一切口を出さないし、人事に介入しない。自分は、福岡市の代表の議員だという自負で仕事していました。
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