「アベノ」と言えば、「ミクスか、ハルカスか」という昨今、残念ながら、小生にはそのどちらもご縁がない。全体的には景気は上向いていると、近い将来に期待を持つ中洲っ子も少なくはないが、類は友を呼ぶということで、周囲も暗い話が多い。久々にバカ笑いした話も「この間、○○ちゃんがお客さんに、誕生日のプレゼントに年金の滞納分の支払いをお願いしてたよ(笑)」というブラックな内容。実にせちがらい。
あるスナック店長が今年の春に店を閉めるという。オープンからいるベテランが、店長の経営にケチをつけ、店を仕切ると言い出したのだ。「金の流れ的に、売上が最も多い私が、食わせてやっているという状況でした。やれるものならやってみろという感じです」と店長。嫌気がさしたところに、知人から中洲で商売をしたいという人の紹介を受け、心は揺れ動いているようである。
大人数が流動的に動く大型店に比べ、人員が少ないスナックは、現場の人間関係のしがらみが強い。また、個人の接客パフォーマンスが強く求められるため、代わりは誰でもOKというわけにはいかないのだ。いつも派遣ギャルばかりでは、リピートにつながらない。人が商品の水商売で、職場の人間関係悪化は店の存続を脅かす。
とはいえ、桜が咲き誇り始め、夜もだいぶ暖かくなるにつれて、中洲を行き交う人も増えてきている。中洲娘の給料が上がっているという景気の良い話も耳にしている。見事な花を咲かせた中洲大通りの桜をはじめ、地元経営者も西日本一の歓楽街・中洲をPRし、景気の波をとらえようと躍起になっている。
小生も、愛する中洲の活性化に貢献するために立ち上がった。名づけて『中洲スナック探訪記』のスタートである。およそ1,300軒の飲み屋が営業している中洲では、その約6~7割がスナックといった小規模店舗。中洲のスナックには、名物ママのいる老舗だけでなく、最近オープンした新店もあり、さまざまなニーズに応えている。
中洲の元気を支える重要な存在と言っても過言ではないのだが、女の子が主役のキャバクラに比べて雑誌などでの露出が少ない。とくに若い世代には、スナックの魅力が伝わっていないという課題を抱えている。そこで小生が読者の代わりになってスナックを冒険し、そこで発見した魅力をお伝えしようと考えた。
地域経済を支える働くお父さんたちの憩いの場・スナックをクローズアップしたシリーズ連載である。読者諸兄からの『馴染みの店』の紹介もOK! NET-IBのご意見メールで連絡されたし。「水割り1杯サービス」で、小生(長丘萬月)がやって来ます。
<プロフィール>
長丘 萬月 (ながおか まんげつ)
福岡県生まれ。海上自衛隊、雑誌編集業を経て2009年フリーに転身。危険をいとわず、体を張った取材で蓄積したデータをもとに、働くお父さんたちの「歓楽街の安全・安心な歩き方」をサポート。これまで国内・海外問わず、年間400人以上、10年間で4,000人の風俗関係者を『取材』。現在は、ホーム・タウンである中洲に"ほぼ毎日"出没している。
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