今年1月、福岡市の第3セクターである博多港開発(株)は博多港サイロ(株)の株式の一部を日清製粉へ譲渡する意向を示した。しかし、同じ博多港サイロの株式を持つ企業の間では、『大手優遇ありき』という疑念が高まっている。
今回の株式譲渡に対し、「一方的だ」という不満の声が博多港サイロ(株)の株主たちから挙がった。26日午前11時から、福岡市港湾局の会議室で博多港サイロの関係会社の代表を集めての説明会が行なわれた。福岡市港湾局によると会議に出席したのは、7社の代表者。全農と九州製粉懇話会加盟の企業が参加した。そのなかには、博多港開発(株)の株主も含まれている。
日清製粉が保有する博多港サイロの株の比率は3.41%。他の製粉会社の保有比率と同等であるが、今回の譲渡で、日清製粉が持つ博多港サイロの株式保有率は20%または25%に増える。博多港開発が持つ株式は、現在の55.2%から 33%程度へ。その後、日新製粉が役員を送り込むことが予想され、同社の発言力が大きくなることを、他の株主や関係業者が危惧している。
今回の説明会では、配布資料はなく、口頭での説明だけが行なわれたという。出席したある業者の代表者は取材に対し、「進展なし」と一言だけコメントして立ち去った。
市港湾局の担当は「製粉会社の方々に、まず港湾局と博多港サイロとしてどのような形が公平な仕組みができるかをお話しました。九州製粉懇話会の会長さんなどとも個別にご相談させていただこうと考えております。今後の取り扱いについては、こういう形の説明会ではないかもしれませんが・・・」と、言葉少なに語った。
日清製粉の穀物取扱量は、同業地場と比較しても大きい。だが、大手優遇ととられる動きへの批判は、福岡市とそのトップの高島宗一郎市長に向けられる。「福岡市と日清製粉の間に密約があるのか――」と。
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