<著作権侵害の背景>
赤石さんは、ネット画像の著作権問題についてネットで調べてみた。すると、いくつか同じような請求で困ったという過去記事が出てきた。「ああ、やっぱり他にも同じようなことが起こっているんだ」。
こうした請求の背景には、どうやら「ホームページやブログの普及が進み、それにともなって画像の不正利用も増大している」という現状があり、「ストックフォトなど版権を所持する会社・個人が、不正利用に対して著作権の維持をめぐり保全を心がけている」という。著作権侵害に基づく請求は、そうした企業がビジネス上の自己防衛のために行なっている。
一方で、「ネット画像はとくに著作権の所在など不明瞭なことが多い。HPがオーナーの自作ならともかく、第三者に製作を依頼したケースもある。ロイヤリティフリーのサイトから画像を拝借したが、実はそのサイトが他のサイトから勝手に画像を使用した可能性もある」そうだ。
特段、ネット社会に詳しいわけではない赤石さんは「へえー、そんなこともあるんだ」と思いながら、情報収集を進めた。こうした事例が載ったサイトでは、突然の請求方法に対して「なりすまし」、「詐欺」、「恐喝まがい」といった強烈な表現が見受けられる。一方で、そうした企業は「ネット上に存在する画像の買い占めを進め、彼らが著作権保護の名目で損害を請求するのは合法」とも書かれている。
今回はちゃんと会社の担当者に電話がつながるし、「なりすまし」ではないだろう。後日、カメラマンと所属会社の署名・捺印が入った証明書が来て、先方の担当弁護士からも書面が届いたので、ただちに「詐欺」というのも難しい。赤石さんの心境としては「恐喝まがい」にいちばん近いが、それが法的に立証されているわけでもない。
また画像倉庫社は、使用料請求の正当性を主張すると同時に、「当該画像を取得したフリーサイトに『フリーで商業利用が可能』といった文言が記載されている場合、赤石さんは善意の第三者となり、使用料請求はしない」と、免除の余地があることも担当の田中氏から電話やメールで聞いている。
「すぐに画像は削除したのに、請求されるいわれはあるのか。そもそもお金を支払えば解決するような問題なのか。支払った後で別の問題を持ち出されて、上乗せされる可能性はないのか」。赤石さんはリスクヘッジも含めて、著作権に詳しい弁護士事務所に直接相談してみることにした。
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