『福岡県内の自立支援施設で働く障害者の平均月給は平均13,600円』――「大きな衝撃を受けた」と語るのは、（社）障害者自立支援グループ、（同）あんしん生活の代表社員である神岡芳徳氏。「障害者の雇用環境を変えたい。協力してくれないか」同グループ理事長の荒牧功一氏から相談を受けた神岡氏は障害者雇用の現状を知り、「働きたくても仕事がない、障害を持つ方を雇用し、自立支援しよう」と奮い立った。これまで培ってきた貿易とウェブのノウハウを活用し、会社作りが始まった。そして2013年５月、福岡市博多区にインターネットを活用し、通販や販売代行を行なう会社を設立。従業員のほとんどが身体障害者、精神障害者、難治性疾患患者であり、現在27名が勤務している。

＜モデルを確立し、全国へ＞
　同社ではオフィスでパソコンと向き合うデスクワークが主体。ネット通販事業のほか、企業からの注文を受け、ホームページの制作やサイト構築、伝票の打ち込み作業、記事作成や文字起こしなど能力に応じて、作業が行なわれている。雇用条件は時給720円で１日６時間労働、社会保険も完備しており、交通費も支給される。これまでに前例のない障害者自立支援といえる。設立から瞬く間に勤務希望者が集まり、現在も県内外を問わず、求人応募や問い合わせが続いている。雇用には限界があるため、新事業所の開設待ちが発生しているほどだ。今後は事業所を10カ所程度まで拡大し、250名の障害者雇用を目指す。「当支援モデルが確立できれば、ノウハウを提供し、全国に広めたい」と語る神岡氏。

　最後につぶやいた神岡氏の一言が印象的だった。
「ある日、障害者の家族が来られて、泣きながら私に感謝の言葉をくれたんです。これまでの仕事ではいくら売上を上げてもこんなことはありませんでした。これが私の原動力です。」

　なお、（社）障害者自立支援協会は業務のアウトソーシング、寄付型自販機の設置、パソコンの寄付などを募っている。

▼関連リンク
・（同）あんしん生活
・（社）障害者自立支援協会

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