<著作権を争うポイント>
ネット画像の著作権について争うポイントについて、赤石さんが弁護士事務所で聞いた話をまとめてみよう。
まず「著作物性」。つまり、その画像が「色彩やアングルなど、どんな工夫が凝らされて著作物となったか」を請求側が証明する必要がある。今回の場合、弁護士の見解では、「写真内の人物をとった角度や構図などを考慮し、創作性は認められない。著作物性はなく、この画像には著作権が発生していないとすべき」という。
また「著作権行使」に関して、「万が一、著作物性が認められたとしても、撮影者がそのカメラマンであることが客観的に明らか」にする必要がある。仮に撮影者がそのカメラマンだったとしても、「預託および提供の確認」をしただけで、「著作権の権利行使の委託」については言及されていない。そのため、著作権侵害とする理由が不明だとする。
さらに「故意」「過失」について、赤石さんは「著作物性の認識」「著作権者の権利侵害」という認識が何らなかった。画像倉庫社側が、著作権侵害について「故意」「過失」の立証する必要があるが、何も立証されていない。
そして、もっとも重要なのは、それによって「どれだけ損害が発生したか」の立証だ。一枚のありふれた写真の金額が数万円もするなら、料金表での算定だけでなく、損害額についての合理的な説明が必要だという。
赤石さんは念のため、こうした場合の立証責任は請求する側、される側どちらにあるのか、他の弁護士や法律に関わる人たちに聞いてみた。皆、おしなべて「立証責任は請求する側にある。この請求の仕方は、先方が何ら立証責任を果たしていないからおかしい」という。
こうした意向を先方に伝えれば、「赤石さんのHPで画像を使用許諾したことはなく、現状では管理コンテンツの無断使用になる。削除だけでは問題解決にはならない。支払う意思が無ければ、裁判することになる」という返事が待っている。
裁判になれば、遠方に出向く時間も弁護士を雇うお金もかかる。とくに赤石さんは地方に住んでいるため、移動費などを含めれば数万円では済まないだろう。「ああ、こうやって泣く泣く、訳もわからずに仕方なくお金を支払って和解する人が、後を絶たないんだろうな」。
ただ、担当弁護士によれば「現状では間違いなく法的な支払い義務は生じていない」という。赤石さんは、裁判で正当性を争うか、それとも素直にお金を支払うか、まだ決めかねている。
※記事へのご意見はこちら