＜海外を中小企業の革新の場に＞
　――現在、連合会が支援する団体には、（一社）福岡中経協、（一社）北九州中経協、（一社）筑後中経協、筑豊中経協の４協会があり、それぞれ独自に運営をしていますね。連合会が果たす役割とは。

　小林専司氏（以下、小林）　各協会が一緒に行なった方が良いことをやります。たとえば、昨年10月に４協会の会員、約1000社に対し、４月より消費税が５％から８％に引き上げられることを受け、「消費税引き上げによる中小企業への影響」についての緊急アンケートを実施しました。208社の回答がありましたが、これを協会ごとに行なうとすると、ごく小規模な偏りのある結果しか得られないことでしょう。４つの協会を取りまとめ、全体的に良くするのが県連合会の役割です。連合会自体が各協会の会員へ個別に働きかけることはないですし、何かを要請することもありません。各地域の協会毎に独自性、アイデンティティがありますからね。それでいいと思うんですよ。地元のニーズは地元で受け入れるのが一番です。

　――そのアンケート結果が、連合会のホームページには、「約30％の中小企業経営者が『経営に重大な影響はない』と回答し、価格転嫁についても約36％が『すべて転嫁できる』との回答があり外部環境の変化に強い中小企業の一面が確認できた」と発表されていました。なかなか頼もしい結果ですね。

　小林　そのような中小企業が「Global Innovation From福岡」というスローガンのもとに団結し実績を上げれば、まだ未加入の企業も続々と入会し、強力な絆が生まれるのではないかと思います。私としてはイノベーションという言葉に「技術革新」だけではなく、「経営革新」の意味も込めています。福岡県下には海外進出を望む中小企業経営者の多くが、まず何をなすべきかわからず戸惑っていますから。すでに海外で実績を上げノウハウを会得している企業を講師として学び合い、ネットワークを強化できれば不安感も払拭され、福岡から海外進出していく企業は増えていくでしょう。そこが「Global Innovation From福岡」の要ですよ。ぜひとも中経協を、中小企業の「革新」の場としなければならない。時代として睨む先は「海外」。その革新の波動を、福岡から発信するのです。

＜共通項は「福岡を良くしたい」という思い＞
　――ＡＰＣＣで25年、いろいろな活動を行なったことで、たくさんのアイディアが湧いてくるようですね。

　小林　連合会会長への就任はちょうどＡＰＣＣの25周年記念事業の準備で多忙を極めていた頃でした。新しい任務を担うには難しい時期でしたが、とにかく行動することで、他役職や自身の事業も含めて同時平行で事に当たりました。結果的には、ＡＰＣＣが中経協につながることになったのですから、経験というのはありがたいものです。
　――APCC初代実行委員の頃は、先輩方から「お前たちはとにかく走るやろ、だから好きなんだよ」と言われて可愛がっていただいたそうですね。
　小林　今も、考える前にまず実行、というスタンスは変わりませんよ。

　――それにしても福岡青年会議所（ＪＣ）が始めたＡＰＣＣと、中経協の連合会と、違う歴史を歩んできた事業がうまくつながるものなのでしょうか。

　小林　連合会とＡＰＣＣには共通点があります。それは運営姿勢に利害関係がないということです。どちらも基本的に福岡が良くなればいいと思っているんですね。「人生意気に感ず」という言葉があるけれど、皆と話していると、まさにそれを実感します。だからＡＰＣＣの仲間にも声をかけ中経協へ入会してもらい、ネットワークを強化して皆で一緒に福岡という地域づくりを始めようとしているところです。経営者の団体はいろいろとあり、それぞれに強みもあると思います。そのなかで中経協の強みは何かと言えば、「面白い」ということですよ。

　――40年前、福岡県中経協が産声を上げたときも、たしか当時の初代会長は設立の挨拶のなかで、「人間味溢れる中小企業経営者たちの共通の利益を追求する」と宣言し、多くの支持を得ました。連合会も40周年記念式典では、同様の暁を迎えそうですね。本日はありがとうございました。

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＜PROFILE＞
福岡県中小企業経営者協会連合会　第６代会長
小林　専司(こばやし・せんじ)
福岡ロジテム（株）代表取締役社長。1998年に開催された「アジア太平洋こども会議・イン福岡（以下、APCC）」の初代実行委員長。2012年には25周年実行委員会実行委員長も務めた。現在、国際交流に関する団体などの役職を数多く担い、13年6月、福岡県中小企業協会連合会第6代会長に就任。同協会会長として、さらに任務の場が広がりつつある。

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