森林保護企業のワイ・エルビルディング(株)(以下、YLB)が2013年7月、インドネシア共和国南スマトラ州オーガン・コムリン・イリール県長から「保護林環境サービス利用事業」を行なう許可を得た。同事業の許可を得たのは、世界でも同社が初めて。インドネシア国内でも、驚きの声が上がっている。
<住民の暮らしやすさに深く関わる環境問題>
――昨年末、インドネシアにおける「保護林環境サービス利用事業」の事業許可という、大変得がたい許可を得られましたね。おめでとうございます。この事業はどのようなものなのでしょうか。
山本亮(以下、山本) 今まで弊社は、インドネシア共和国南スマトラ州オーガン・コムリン・イリール県保護林内で、マングローブ保護林におけるREDD+活動を行なっていました。それを事業化してよいと、同政府から許可をいただいたものです。ちなみに「REDD+(レッドプラス)」とは、途上国が自国の森林を保全するため取り組んでいる活動に対し、経済的な利益を国際社会が提供するというものです。
――インドネシア国内企業でも、REDD+の事業許可を得るのは難しいと聞きましたが。
山本 難しいですよ。実際、今まで事業を行なうことは認められた企業は国内外問わず存在していません。
――では御社は「インドネシア初」の栄冠を手にしたわけですね。しかも元来政府が整備すべき「保護林」を対象にした「環境サービス利用事業」はもともと保護林を活動の場にしていた御社のためにつくられたと言っても過言ではありませんね。
山本 そう評価していただけると嬉しいですね。実際、同国内でも、関係者から「よく許可が取れた」と驚かれているのですよ。
――調査内容について、詳しくお聞かせください。
山本 「MRV方法論の制度向上とパイロットプロジェクト稼動に向けての実証調査」という調査ですが、わかりやすく言うと、荒廃林にマングローブを植林することで、まずREDD+本来の目的である炭素排泄量増加を抑制させながら土地を回復させ、最終的には現地住民のライフクオリティを向上させることができるようにするための調査です。
対象活動地の面積は6万6,500haで、保護林全体の約65%を占めています。海に面していて、海岸線の距離は約180km。そこからおよそ4~5kmの幅が保護林地区として定められています。しかし、天然林はおよそ半分しか残っていません。森林が失われた原因は、違法、あるいは誤認による土地開発や森林伐採および保護域外の土地開発。そのほか、農業のための火入れ作業からの延焼なども主な原因に挙げられています。そして同地には、漁業を営む世帯が村落をつくり、電気も水道もない生活を送っています。彼らの生活を、いずれはREDD+事業による就労支援によって豊かにし、森への興味を高めて森林保全を住民自らの手で運営できるようにしたいと考えています。
| (後) ≫
<COMPANY INFORMATION>
代 表:山本 亮
所在地:福岡市中央区天神4-1-11
設 立:1999年12月
資本金:1,000万円
TEL:092-734-7722
URL:http://ylinvest.sub.jp/ylbld/
<PROFILE>
ワイ・エルビルディング(株)
山本 亮(やまもと・あきら)
1935年、大分県生まれ。大分県佐伯市立大入島中学校卒。70年2月、外材輸入商社「山本木材産業」を設立。2004年7月から、マングローブ植林による環境ビジネスをインドネシアにて開始。11年、ドイツ・ボンで開催されたUNFCCのワークショップにて、その業績が国際的に認められる。
※記事へのご意見はこちら