＜「社会貢献は企業の義務」多くの社会福祉団体への寄付活動＞
　1992年、川井田豊氏が（株）高千穂の代表取締役社長に就任した。同社の舵を取り事業を再生した川井田氏は、合板事業を子息の川井田佳遠氏に事業を任せている。本人自身は不動産・投資部門で活躍。活性化を見せている。そんな同社も、米国に端を発した世界同時不況の煽りを受け、日々耐えるような時期もあった。そんな状況下でも川井田豊氏は、企業は社会活動の一端を担わなければならないとの信念から「企業は社会貢献を積極的にすること」を掲げている。

　「常に社会に感謝して、さまざまなチャリティを行なっています」と川井田豊氏。チャリティのきっかけは、以前、福岡市立美術館に足を運んだとき、脳性小児麻痺らしき方がボランティアの女性に付き添われていた。それを見ながら「現在では何万人、何十万人に１人といった割合で難病にかかる人がいる。見方を変えると、この人が難病にかかるという運命のクジを引いてくれたがゆえに、自分と家族はその病気を逸れることができたのだろう。そう考えたら他人事ではない」と思うと、何かをしなければと思ったのだそうだ。

　「もちろん、私自身が経済活動の輪に入り経営ができることも『お客さまのおかげ』なのです。お客さまはその先のお客さまにお世話になり、その先に...と、続いていくことで世の中360度めぐりめぐっている。とどのつまり、循環する社会のおかげなのです」と社会への感謝も忘れない。社会へ、そして社会的弱者へのサポートに自らを駆り立てる川井田氏の姿がある。

　川井田氏が手がける多彩なチャリティ活動の一環として、野球観戦の招待がある。毎年、児童養護施設「ひばりが丘学園」や社会福祉法人相互福祉会「希望学園」、在宅心身障害者療養訓練施設「やすらぎ荘」の青少年ら合計400人を、春、秋ともに200人ずつに分けて、ヤフオク！ドームに野球観戦に招待しているのだ。すでに足かけ15年行なわれており、リーマン・ショックで同社の業績も落ち込みに見舞われていたときでも、必ずこのチャリティ活動は行なわれていたという。

　しかも、ただ招待するだけでなく、飲み物と食費含めた金額3,000円のお小遣いをみんなに渡すケースもあるそうだ。そのため、何の不安もなくみんなで観戦に行けるということで、多くの子どもたちが毎年楽しみしているそうだ。「この子たちは、絶対的に弱い立場にいます。だから、我々は絶対サポートしなければならない」（川井田氏）。そして「いつも気にかけているよ」「あなた方は社会から孤立していない」という意思表示を常にしなければならないと川井田氏は語る。固い意志のうえでチャリティ活動を行なっているがゆえに、15年間も続いているのだろう。

　その川井田氏の功績が称えられ、特定非営利活動法人「子どもの村福岡」、国立大学法人「室蘭工業大学」、公益財団法人「佐賀国際重量子線がん治療財団」など、数々の感謝状がわたされている。

　「税金を納めて社会のために使っていただくことも結構ですが、我々がダイレクトに寄付やチャリティを行なうのは、まさに『社会に対する恩返し』だと思っています。会社は利益を追求しないと存続できませんが、同じ利益追求でも、私利私欲の追求と社会還元を求めての利益追求とでは異質のものです。社会貢献を行なうためにも、お客さまの信頼を得ながら事業存続していくべきです」と、会社のあるべき姿として、社会貢献を行なうべきであると言う。

　会社存続の危機に直面したがゆえに見える、還元できる会社づくりと社会貢献の大切さ。幾多の苦難を乗り越えた川井田氏の言葉と行動は、これからも社会的弱者と言われる人たちに希望の光となり得るのでないだろうか。

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＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：川井田 豊
所在地：福岡県粕屋郡宇美町大字宇美3351-３
設　立：1957年３月
資本金：6,100万円
ＴＥＬ：092-933-2664
ＵＲＬ：http://takachiho-japan.com/

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