九州でも観光業をはじめ、中国との人的交流が盛んだが、中国人観光客にとって、日本での目当ては「免税店」だ。最近は、中国の急激な経済成長で「免税」にもこだわらず「税込み価格」でもどんどん買って行く中国人は、福岡の家電メーカーや百貨店、ドラッグストアなどにとっても大歓迎だ。
とはいえ、中国国内でも家電製品は成長産業だ。テレビや冷蔵庫など、中国国内メーカーやサムソン、LGといった国際競争力の高い韓国メーカーの台頭があり、中国国内でも電化製品は買えなくもない。
しかし、なぜ中国人観光客は日本の家電量販店や免税店で躍起になるのだろうか?中国人にとって「日本に来てからしか買えない電化製品」があると言う。それが「炊飯器」だ。
ある在日中国人は「日本の炊飯器は『微妙な炊き加減』が設定できる。中国メーカーにも炊飯器があるが、炊き方の設定が少なく、細やかな炊き加減は実現できない。予定通り炊きあがらないこともある。中国でも米は食べるので、精度が高く、設定が豊富な日本の炊飯器は重宝する」と話す。
また、中国の「みやげ」文化は日本よりも激しい。「海外を旅行した」となれば、隣近所に多くのみやげを配り歩く。ましてや「日本に旅行をする」というのは結構な富裕層なので、「日本で炊飯器を買ってきて、それを配った」となると多くの人に喜ばれ、自身のメンツも満たすことができる。
中国人の日本旅行での最終日のゴールデンコースは、「日本の家電メーカーで大量の炊飯器を購入する」ことだという。これに備え、店側も『中国の電圧に対応する炊飯器』の在庫と、中国人客を捌くための中国人スタッフを大量に用意しているという。
一方、韓国携帯電話メーカーは中東(イラン、サウジアラビア、UAEなど)に進出する際、「コーラン(イスラムの教典)の羅針盤」のアプリを搭載したスマートフォンで大ヒット販売を遂げた。
コーランはメッカの方向を向いて唱えるが、「羅針盤機能でメッカへの方向を示す」「コーランを音声と文字で同時に提供する」という機能をつけることで、現地のイスラム教徒のハートを掴み、購買に繋げたのである。
「利用者のニーズを掴み、確実に提供する」。これこそが、外国人を相手にするマーケットに必要なポイントと言えよう。
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