<さまざまな事業を経て出した答え、それが「スポーツへの恩返し」>
福岡県宇美町にある(株)J−SEALsは、2013年4月設立のスポーツマネージメント・ブランディングおよびスポーツサプリメントの卸・販売を行なっている。設立間もない同社だが、創業者である酒向恵介代表取締役会長の経営経歴は、多岐にわたる。
他業種を経験してきた酒向会長は、20代前半から起業し、中古車販売、ガラス磨き請負業、リサイクルショップ経営、便利屋、住宅設備機器販売および家電販売、飲食業、生鮮卸などを手がけてきた。とくに家電においては、エアコン3万5,000台、IHクッキングヒーター1万2,000台、食洗機7,000台、冷蔵庫1万2,000台、洗濯2万1,000台を販売するなど、その経営手腕を振るってきた。
しかし、東日本大震災以降、仕入れに規制がかかったことや、価格が暴落などで同社を取り巻く状況が大きく変化。これを機に「本当に自分がしたいことは何だろう」と考えた結果、出てきた答えは「中学・高校の頃に打ち込んだ野球に恩返しをする」ということだった。
15歳の頃から野球に専念しながら寮生活を送っていた酒向会長は、「野球を辞めかけたことがありましたが、両親や監督、先輩や同級生などの支えもあり、何とか復帰しました。そのときに、仲間の大切さや支えてくれる方々のありがたみを感じながら、我慢や厳しさなど本当に多くのことを学びました。いろいろな意味で勉強になりましたし、弊社の社訓でもある『大義に対して、忠義を尽くす』のルーツでもあります」と当時を振り返る。
<プレイングマネージャーとして経営の舵を取る>
そして、現在、アスリートを中心に、関わるすべての人、チーム、組織、企業に対して、つなぎ、支え、ともに成長していけるスタッフにも出会うことができた。出会いのきっかけはさまざまだが、その根底には「スポーツに関わることで、スポーツに恩返しをしたい」という想いがある。酒向会長も1人で経営する難しさを理解しているからこそ、足りない部分をお互い補いながら、チームとして次第にスタッフ陣が形成されていった。野球でたとえるなら、酒向会長はキャッチャーとしてプレイングマネージャーの立ち位置でゲームメイクするといった感覚に近いだろう。
野球にしても経営にしても、成功するために重要なのはチームワークだ。同社のスタッフの表情を見てみると、皆、活き活きと仕事に取り組んでいる。「弊社では1人ひとりの意見に耳を傾け、お互いが納得できるように心がけています。たとえ失敗したとしても『なぜそうなったのか』というプロセスを大事にしています。そうすることで失敗をバネにできますし、何より考えて行動するのでやりがいがあるはずです」と酒向会長は自社を分析する。
そんな信頼し合える仲間たちと、引退したスポーツ選手の講演会を手がけているほか、中・高・大学などで学生に指導を行ないながら進路相談も受けている。そこでいくつかの声が耳に入ってきた。「外からのアプローチよりも、内からアプローチできるものはないか」と。
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<COMPANY INFORMATION>
代表取締役会長:酒向 恵介
所在地:福岡県糟屋郡宇美町原田2-8-41
設 立:2013年4月
資本金:400万円
TEL:092-934-0010
URL:http://j-seals.com
<PROFILE>
酒向 恵介(さこう・けいすけ)
1977年1月生まれ、大阪府出身。20代前半に中古車販売会社として起業したのが始まり。その後、さまざまな業種の会社を立ち上げた経験をもとに、2013年4月に(株)J-SEALsを設立し、代表取締役会長を務める。趣味はゴルフ、旅行など。
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