<日本との類似性>
1980年代の日本の経済力は、飛ぶ鳥をも打ち落とす勢いであった。年間1,000万ドルを超える貿易黒字を出すことによって、アメリカと貿易摩擦を引き起こすことにもなる。日本は短期間に蓄積された莫大な資本力を武器に、アメリカの不動産と企業を買い漁るようになる。当時、東京の書店街には、「日本経済は21世紀を制覇する」というような、日本経済に対する自信に満ちた書籍が多数出版されていた。あれほど自信に満ちていた日本経済が今のような状況になろうとは、誰も想像できなかった。
しかし、その当時も日本の未来に対する既成世代の懸念は、全然なかったわけではない。先祖が血と涙の努力の結果に手に入れた経済の豊かさに、今の若い世代はタダ乗りしているとか、豊かになったせいで今の若者にはハングリー精神が欠如していて、現状維持をするのは難しいだろうとか、日本の未来に対して不安に思っている意見もあったのだ。
日本経済の絶頂期であった1980年代から20年以上経った今、現在の日本経済は力強い成長も見られず、世界第2位の経済大国の地位も中国に譲っている。たしかに日本経済は絶頂期のときに比べると、世界経済で日本経済が占める比重は縮小しつつあるが、日本経済が今後どのような姿になるかは、もう少し推移を見守る必要があるだろう。失われた20年を経験しているにも関わらず、日本経済は底が固いし、最近の個人金融資産の発表によると、前年対比個人資産が200兆も増加し、1,645兆になっている。日本経済の底力がうかがえる。
ところが、中国は日本が低迷していた時期に、急速に浮上してきた。世界経済の成長エンジンになっている中国経済を切り離して世界経済の行方を議論するのも難しいほど、中国経済は世界的に大きな存在になっている。アメリカも、中国製なしでは生活が成り立たないくらい中国製が生活に深く関わっているし、日本や韓国も農産物もさることながら、中国で生産しないと価格競争できる製品をつくれない状況になりつつある。
また、中国は生産工場としてではなく、今後、大きな消費市場として生まれ変わろうとしている。製造の軸がアジアに移った今は、一番先に産業化に成功した日本と、日本から技術を教えてもらいながら、量産技術を磨いてきた韓国、それからすでに技術的にも韓国との格差がなくなりつつある中国とがどのような戦略で競争していくのか、推移を見守る必要がある。
とても面白いことに、中国に対する経済依存度が高くなっている韓国の書店街には中国経済の展望について比較的に明るいものが多いのに比べて、日本の書店街には中国経済の展望に悲観的な書籍が溢れている。アメリカも、どちらかと言うと悲観的な書籍が多いような気がする。
しかし、そのようななかでも、アメリカ国民がアジアで最も大事だと思っている国は、今や中国であるし、中国との国家レベルでの情報交流も頻繁になっている。韓国は、貿易において今一番の相手国は中国であるし、加えて、日本との歴史問題などもあって、中国と仲良くなっている側面もある。しかし、一部では覇権主義国家であり、韓国とは体制が違う中国との関係に、警戒感を示す韓国の専門家があるのも事実である。また、経済に詳しければ詳しいほど、日本との関係は大事であると力説する韓国の専門家もいる。
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