行橋市で行なわれている13日投開票の福岡県議会議員補欠選挙は、自民党福岡県連と同党行橋市支部が異なる新人候補を推薦し、その一騎討ちになるという『自民分裂』の選挙に。2人の選挙ポスターには、それぞれ「自民党」の表記があり、とくに行橋支部が推す候補者は、「自民党」を大々的に打ち出した選挙運動を展開するなどで、有権者から困惑の声が上がっている。
今回、自民党福岡県連が推薦しているのは弁護士の堀大助氏(34)だ。堀氏は、県議会の会派・緑友会(農政連)の公認候補であり、民主党(福岡11区総支部)、自治労、労組などの推薦も得ている。対して、同党行橋市支部は、現防衛副大臣・武田良太衆議院議員の秘書である小堤千寿氏(31)を推薦。公明党も小堤陣営に回ったため、互いに一歩も譲らない激しい選挙戦となった。
行橋市は武田氏の選挙区である福岡11区の一画であり、武田議員の影響力が強い地域である。そして小堤氏は、その秘書としての地元回りや自民党福岡県11区支部青年局長として顔を売ってきており、市民にとっても自民党のイメージが強い人物。選挙戦では、国政(武田氏)とのつながりの強さを強調している。
一方、堀陣営は無所属の新人候補として、弁護士の経験を前面に打ち出し、県議として「即戦力の人材」と強調する。自民党も強力にバックアップ。5日の出陣式には、松山政司県連会長が参加。模様眺めといった若干名を除き福岡県選出のほとんどの自民党国会議員も堀氏を支持。さらに、9日には麻生太郎副総理が応援に駆けつける。
政治事情に詳しくない市民にとってみれば、どちらも自民党が推す候補者という様に映るだろう。
堀氏が初めて選挙に出たのは、2012年12月の衆議院議員選挙。福岡11区において、日本維新の会の公認候補として武田氏に戦いを挑んだ。結果は約5万票差をつけられての惨敗。しかし、行橋市に限っては、武田氏15,501票に対し、堀氏11,505票と健闘した。「前回は、選挙直前で出馬表明しており、準備ができていなかった。堀個人の支持票はほとんどなかったはずだ。おそらく、8割は武田氏へのアンチ票ではないだろうか」と堀陣営。実質的に「強豪・武田氏が相手」と言える今回の県議補選へ期待を寄せている。
自民党内の政治闘争で見ると、「武田包囲網」の"一番槍"となった堀氏。行橋市の"城代"として徹底抗戦の小堤氏という構図になっているが、行橋市民にとっては県議として市や県の将来を担う有為の人材を選びたいところ。どちらも自民なら個人の資質が問われる選挙になるのが望ましいはずだ。若者同士、行橋市の未来について大いに語ってもらいたい。
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