<全国からマンガ・アニメファンが4,500人>
トキワ荘フォーラム「マンガ・アニメと観光」(主催:NPO法人日本マンガ・アニメトキワ荘フォーラム)が4月5日、東京・池袋の豊島区民センターで開催され、100名を超える関係者が全国から参集した。高野之夫豊島区長が出席した。
3回目を迎えた同フォーラムには、観光庁、豊島区、公益財団法人東京観光財団、NPO法人東京シティガイドクラブ、一般社団法人日本動画協会、一般財団法人地域活性化センターが後援し、公益財団法人日本漫画家協会が協力した。
昨年12月14日にオープンした「トキワ荘通りお休み処」(豊島区南長崎2-3-2)には、全国からマンガ・アニメファンが続々と訪れ、来館者数は開館4か月で4,500人を超えた。池袋にある「乙女ロード」や土・日に1万人が来店する「アニメイト」と並んで豊島区の名所・観光地となりつつある。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際には東京に1,000万人を超える外国人がやってくる。その外国人に最も人気の1つが日本の「アニメ」である。このアニメのルーツは「マンガ」であり、そのマンガのルーツは「トキワ荘」である。
<20年を目標に訪日外国人旅行者2,000万人へ>
フォーラムの第1部では、観光庁の新垣慶太課長(地域振興部観光資源課)が「地域の資源を活用した観光による地域振興」と題して、講演した。観光促進のために、現在、日本政府の推進している考え方、アクションプランを述べた。
13年の訪日外国人旅行者数は1,036万人で、03年にビジット・ジャパン事業を開始以来、政府目標であった1,000万人を初めて突破した。外国人旅行者の国内における旅行消費額は1兆円で、国内の旅行消費総額の4.5%に過ぎない。政府の「観光立国推進閣僚会議」で、安倍晋三首相は2020年までに、訪日外国人観光客を2,000万人に増やす目標を表明。「観光立国推進閣僚会議」では、目標「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」(2013年6月)の改定をめざしている。
<経営感覚やマーケティング活動が要求される>
新垣氏は、これからの観光地域づくりのポイントとして、3つの重点項目を挙げた。(1)地域の「お宝」を見つけよう!"ないものねだり"はせずに"あるもの探し"で、わがまちならではの魅力を再発見する。(2)やる気ある人で仲間づくり、組織づくりを始めよう!既存の枠にとらわれない幅広い業種や住民の参画を促進する。(3)「誰」に「何」を「どういう方法で」アピールするか、「皆」で考えよう!自己満足・お国自慢で終わってはいけない。市場調査、観光メニューや体験コースの企画・商品化、プロモーション等、経営感覚やマーケティング活動が必要である。
<行政は動き出したものについては応援しやすい>
新垣氏は、観光地域づくりの成功例として、熊本県阿蘇市(「スローな阿蘇づくり」で、阿蘇の新たな魅力を発見)、茨城県大洗町(オリジナルアニメ「ガールズ&パンツアー」と連動、新規顧客として若者旅行を応援)などを披露。ロケ地・フィルムコミッション等を活用した成功例として、神奈川県藤沢市、福岡県北九州市を紹介した。
「行政が主体的に何かを動かすことは必ずしも簡単ではない。しかし、その反面、動き出したものに対しては応援しやすい。そして長く動かし続けることが大切」と、自治体が自立することの重要性を説いた。
<成功の秘訣は"十分な人間関係"の構築にある>
フォーラムの第2部では、「マンガ・アニメと観光戦略」と題し、葛飾区(「寅さん」、「こち亀」、「キャプテン翼」)、金沢市(「花咲くいろは」、「ICAF」)、西武鉄道(沿線にアニメ・マンガの制作会社や「ゆかりの地」が多い)、秋葉原観光推進協会(第1回「秋フェス2014春」を3月21日~23日に開催、大盛況)の各代表が登壇。小室広佐子氏(東京国際大学教授・元TVキャスター)がコーディネーターとなり、マンガ・アニメ等関係者と地域商店街との調整や著作権問題等に関し、活発な議論が展開された。4地域に共通した成功の秘訣は"十分な人間関係"の構築にあることがわかった。
<7月パリ開催「ジャパンエキスポ」に出展計画>
トキワ荘フォーラム理事長の尾中哲夫氏(日本加除出版社長)が閉会の挨拶をし、同フォーラムが2014年7月パリ開催の「ジャパンエキスポ」に出展する計画があることを明らかにした。いよいよ、日本マンガ・アニメのルーツ「トキワ荘」が海外でお披露目されることになる。
【注】ICAF:大学・専門学校の教員が推薦する学生作品を上映するアニメーション映画祭、Inter College Animation Festival。
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