<業界のリーディング企業として魚食普及・業界発展に努める>
福岡魚市場における鮮魚仲卸を中心に水産加工品の製造および販売を主な業務としている(株)アキラ水産は、地元水産物仲卸業界では非常に認知度の高い水産関連企業であり、現在でも増益を続けている優良企業だ。
日本人の食生活の変化により、魚を食べる人の数が減ったと言われて久しい。この状況を危惧し、魚食を再び広く普及させることが業界発展にもつながると考える安部泰宏社長は、福岡魚食普及推進協議会会長という役職に就任していることもあり、業界他社と手を組みながらさまざまなアイディアを計画・実施している。その最たるものが、同氏が陣頭指揮を執って始めた長浜鮮魚市場の開放イベント「市民感謝デー」である。これは毎月第2土曜日の午前9時から3時間、普段は市場内に入れない一般市民へ向けて魚市場を開放。新鮮な魚介類や各社の多様な加工品を販売する催しで、今では毎回約1万人が訪れる魚市場最大のイベントとなっている。しばしば全国区のテレビや新聞でも取り上げられており、地元・福岡以外でも広く知れわたるようになった。
「東日本大震災の被災地、すなわち東北は水産業の盛んなところ。私たちの九州でも、こんな市場開放などのイベントを通して水産業の復興につながれば嬉しいですね」と、安部社長は遠く東北にまで想いを寄せる。
このように自社の「1人勝ち」を良しとせず、「アキラ水産ばかり生き残っても仕方がない」と、自社のことのように業界全体の振興や同業者の発展を願いながら、さまざまな活動を行なっている安部社長。
2011年10月に執り行なわれた「旭日雙光章受賞記念祝賀会」には水産業界だけでなく、遠く北海道から鹿児島までの政界、財界、業界のトップ約600名におよぶ要人が集ったというエピソードにも表れているほど、人望を集めているのだ。
<新鮮な原材料にこだわり、本物の味を追求した加工品が好評>
魚食普及のためには、消費者に魚を美味しく食べてもらう機会をつくり、工夫をすることが大切だと考える同社。その特徴は、何といっても市場内に加工工場を持っていることだ。市場で仕入れた新鮮な原材料を時間のロスなく工場に搬入することで、原材料を劣化させず、また衛生面でも有利な環境で加工品を生産できることが、こだわり商品の販売につながっている。
天然の真鯛を使った「アキラの鯛茶」や、良質の明太子を贅沢に使った「あきらめんたい」などがその代表作である。「アキラの鯛茶」はもともと本社事務所を訪れる来訪者向けの『お土産品』として手渡しされていたものだったが、予想以上に好評だったため、商品化したという経緯がある。その後、国内大手航空会社の機内誌で紹介されるなどして、全国から問い合わせが来るようになったのだ。また、「アキラ水産厳選の一夜干し」や「いわしめんたい」「さばめんたい」など、その日に水揚げされた新鮮な素材を時間を置かずにそのまま加工した「詰め合わせ」商品なども非常に好評である。
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:安部 泰宏
所在地:福岡市中央区長浜3-11-3-711
設 立:1960年4月
資本金:2,000万円
TEL:092-711-6601
URL:http://www.akirasuisan.co.jp/
<PROFILE>
安部 泰宏(あべ・やすひろ)
1939年3月29日、福岡市生まれ。福岡大学附属大濠高校卒業。現在、全国水産物卸組合連合会副会長として、魚食の普及に力を注いでいる。また、九州地区水産物卸組合連合会会長として、業界振興を図る取り組みにも積極的に関わるなど骨身を惜しまぬ活動を続けている。2005年4月藍綬褒章受章、11年6月旭日雙光章受章。
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