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喜美の亡霊が跋扈みんなの党の断末魔
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2014年4月11日 13:29

 7日に渡辺喜美氏が突然代表を辞任し、一気に空気が変わったみんなの党。当初は「潔白を証明したら、代表に戻ってほしい」との雰囲気だったが、8日にはまったく変わってしまった。新しい代表が11日に選任されることになり、すでに渡辺氏は「過去の人」になった。とはいえ、いまだ渡辺氏の亡霊がみんなの党を跋扈している。たとえば8日11時からの役員会に引き続き開かれた両院議員懇談会だ。

watanabe.jpg 「けしからん!どうして我々に話す前に外に向かって話すのか!」
 怒号の主は柏倉祐司氏だ。栃木2区を地元とする衆議院議員の柏倉氏はいわば渡辺氏の「子飼い」。その渡辺氏に対し、4日の夜に参院議員の和田正宗氏と衆院議員の佐藤正夫氏が緊急記者会見して代表辞任を主張したが、柏倉氏にはそれが許せなかったのだ。
 だが党内では柏倉氏のような「渡辺派」はすでに少数になっていた。多くは「渡辺氏が代表ではみんなの党がたちゆかない」と思っていた。
 その筆頭が参院議員の行田邦子だ。行田氏はもともと民主党所属議員だったが、みどりの風を経て、昨年3月にみんなの党に参加した。渡辺氏の「一本釣り」だったと言われ、初めての議員総会では紹介される行田氏のそばで、渡辺氏がやけに嬉しそうだったという話もある。
 そんな行田氏の心が変わったのは、何がきっかけだったのか。
 「行田氏の地元・埼玉県では久喜市議選などがある。渡辺氏の8億円の件で、みんなの党の候補は有権者から罵倒されているらしい。ポスターも破られ、自分の政治生命に危機感を感じたのだろう。それまで渡辺氏べったりだった行田氏は態度を変えた」
 昨年12月に江田氏らが結の党を結成し、みんなの党に残ったのは全員自分の味方だと、渡辺氏は信じていたに違いない。だがみんなの党の多数の本音は以下の通りである。
 「我々は渡辺氏が好きでみんなの党に残るのではない。渡辺氏は江田憲司氏よりマシだと思うから残るのだ」
 しかしその声は渡辺氏本人には届いていなかったようだ。

 「自分が作った政党だから、自分が代表でいなければならない」
 渡辺氏はそう考えていた。吉田嘉明DHC会長から8億円借入れした件が判明した時、とりあえず説明すれば十分だと思っていた。記者に「何に遣ったのか」と聞かれて「熊手」と答えたのは、囲んでいた記者らがかねてからよく知っている番記者だったことで気の緩みが生じた証拠でもある。
 「違法性の認識はない」と渡辺氏は述べたが、周囲はそうは解さなかった。すでに3月28日には東京都の市民団体代表が、公職選挙法違反や政治資金規正法違反などで渡辺氏を東京地検特捜部に告訴していた。ある大手新聞社の記者はこう聞いてきた。
 「渡辺氏がどこにいるか、わかりませんか?社会部が追いかけているんですが」
 
 3月31日に党最高顧問で参院議員の江口克彦氏が代表辞任を提案した。
 「政倫審でも検察でも自らが出向いて説明し、真っ白だということを明らかにしてから戻ってきてほしい」
 江口氏はみんなの党の創設時からのメンバーだ。党内で渡辺氏をもっとも理解している人物だといえる。江口氏とて渡辺氏と同様に、みんなの党を潰したい気持ちは全くない。だがそんな切実な声も、渡辺氏のもとに届かなかったようだ。その週はずっと、渡辺氏は永田町に姿を現さなかった。
 
clock.jpg 4月7日の月曜日、いよいよタイムリミットが迫ってきた。翌8日には役員会が行なわれ、続いて両院議員懇談会がセットされた。ここで渡辺氏に対する辞任要求決議が採択されることになっていた。早ければ週内に、「代表代行」が選任されることになる。穏やかに月曜日はすぎていこうとしていた。嵐の前は静かである。
 しかしその静寂はすぐに破られた。午後、みんなの党所属議員の各事務所に党事務局からFAXが入ったのだ。代表の辞意表明だった。
 急きょ、参議院本館内の控え室で渡辺氏の辞任会見が開かれた。渡辺氏は「本日、吉田嘉明会長へ借入金全て返した」と表明した。返済資金源は「親戚、友人、知人」と説明し、会長からの借入金は「違法性はない」と繰り返している。
 だが問題は残っている。渡辺氏は会見で、妻の口座に5億円を移したことを漏らしてしまった。「政治活動にともない、資金が必要だ。妻には保守的に管理してもらった」
 しかし、自らが指名した三谷英弘同党倫理委員長による「調査チーム」に自分の通帳などを渡したものの、5億円を振り込まれた妻の通帳については渡そうとはしなかった。このような渡辺氏の不透明な釈明に、こんな噂も出ている。5億円は妻への『慰謝料』という説だ。
 「昨年、渡辺氏とTV朝日の女性記者とのスキャンダルが起こった。これに怒り狂い、離婚を言い出した妻を渡辺氏がなだめるため、5億円を差し出したのではないか」
 都心の有数の高級住宅地に住み、高級外車を乗り回すまゆみ夫人は、かねてから「贅沢好き」と話題になっていた。またまゆみ夫人は結党時からやたら党務に口を出していたため、「みんなの党に振り込まれる、年間約20億円の政党助成金と年間約2億円の立法事務費は、渡辺氏とまゆみ夫人が自由に遣っているのではないか」とも囁かれていた。実際に2012年12月の衆院選では、まゆみ夫人は党のCMを電通と勝手に契約。党の予算は500万円なのに2,000万円を支払うはめになっている。
 そんな不透明さを残したまま、みんなの党は現在「第2ステージ」に移行している。すなわち、代表を辞任して一線を退いたものの、以前通りの影響力を残したい渡辺氏とその他の議員との闘いだ。
 11日夕方、みんなの党は都内で両議院総会を開き、新代表を選出する。幹事長の浅尾慶一郎氏が立候補を表明したが、有力な対抗馬がいない。松沢成文氏の名前が挙がったが、本人は否定した。そのまま浅尾氏で決まるかと思われていたところ、10日午後にいきなり参院議員の薬師寺道代氏が出馬の意思を表明した。
 「私ひとりの判断で事を起こした」
 そう薬師寺氏は述べたが、その言葉を信じる者はいない。
 昨年7月の参院選で当選したばかりの薬師寺氏は、完全な渡辺氏の「子飼い」と見なされている。「渡辺氏が比例に出馬した甥の美智太郎氏の名前を薬師寺氏のポスターに入れさせるため、1,000万円を支払った」と書かれた怪文書も流された。かつて「寵愛」した行田氏が寝返った以上、いまのお気に入りは薬師寺氏だ。それに医師でもある薬師寺氏は、まゆみ夫人と関係が極めて良い。背景を知る関係者はこう述べる。
 「浅尾氏の対抗馬擁立の影に、渡辺氏がいるのは明らかだ。当初は参院議員の松田公太氏の出馬を考えたが、松田氏には女性問題があった。下手にスキャンダルになるのはいけないということで、薬師寺氏になった」

 実際に、出馬表明した彼女の言葉は、渡辺氏そのものだった。今回の騒動の原因は江田憲司氏にあると執拗に述べ、非難している。
 ところが夜になって、いきなり薬師寺氏が出馬をとりやめると発表した。勝つ見込みがないと判断したのだろう。ある票読みでは、浅尾氏に16票、薬師寺氏に5票。渡辺氏は代表選に欠席するだろうといっている。しかし無名の政治家にとっては、これは大健闘といってよい。薬師寺氏自身の名前も出るし、彼女にとって損はない。
 だが彼女を推す側は、それでは困るのだろう。なんとしても勝たなくては、党内に力を残せないからだ。

 いまのみんなの党のなかには、一部を除いて渡辺氏への待望論は全く消えた。一日も早く、新しい出発を望む者ばかりだ。11日の両院議員総会は輝かしい一歩となりうるのか。永田町ではどんな道でもいばらがある。

【永田 薫】


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