NET-IBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、日本経済を深刻化させる「消費税増税」について、今後の課題を提示した4月11日の記事を紹介する。
まだ、決して断定的には言えないのだが、消費税増税の影響は軽微ではないはずだ。日本経済新聞は首をかしげるほど、「消費税の影響軽微」と強調してきた。なにしろ、年初来、4度も一面トップで「消費税増税の影響軽微」の文字を躍らせてきた。よほどの確信があったのか、そうでなければ、何か裏事情があったはずだ。
私は日本の株式市場が強気のまっただだなかの昨年11月に『日本経済撃墜-恐怖の政策逆噴射-』(ビジネス社)と題する書を公刊した。圧倒的な少数意見だった。
会員制レポート『金利・為替・株価特報』
では、昨年12月10日号の9.【投資戦略】タイトルを、「掉尾の一振後の株価下落に備える」とした。
2013年12月10日号は、サンプルとしてウェブ上に公開しているのでご参照されたい。
『金利・為替・株価特報』では、年初来の株価下落傾向を予測してきた。順当な市場変動が生じているのである。
メディアは真実を伝えないが、株価下落の最大の要因は日本の超デフレ財政政策である。
この点は、本ブログ、メルマガでも再三指摘し続けてきた。
『金利・為替・株価特報』2014年4月14日号では、現在の日本の株式市場を取り巻く環境を総括的に分析している。詳しくはレポートをご高覧賜りたいが、全体タイトルと目次だけを紹介しておく。
全体タイトル「消費税増税の影響軽微予測は正しかったか」
目次
1.【概観】消費税・FRB・ウクライナへの警戒
2.【日本経済】消費税増税の影響は軽微でない
3.【株価】為替・株価連動続くが株価に下方圧力
4.【地政学】ウクライナ情勢の不安定化
5.【金利】インフレ率の状況転換
6.【為替】ECB利下げの可能性
7.【中国】人民元安誘導で経済底割れを回避できるか
8.【金と金利】米金利&ドルと逆相関の金価格
9.【投資戦略】株価下落の底値を探る
日経平均株価が4月11日終値で14,000円の大台を割った。極めて重大なニュースである。すでに本ブログで指摘したが、日経平均株価はデッドクロスを示現した。株価下落のかなり強力なシグナルである。株価変動のポイントは、2月4日の終値14,008円を下回るかどうかだった。この水準をあっさりと割り込んだ。かなり厳しい状況を読み始めている。
現実を直視したくない安倍政権は、「ウクライナ」だの、「新興国」だのと、四の五の言っているが、核心に触れようとしない。
メディアは、株価がデッドクロスを示現し、チャート上の節目を下回ったのに、その事実すら十分伝えない。
日本経済新聞は経済金融の専門紙だと標榜しているのだから、少なくともこのような局面で、問題の重大性を適正に報道するべきだろう。政府の御用聞きばかりにうつつを抜かしていると、賢い読者から購読を中止してゆくことになるだろう。
消費税増税の影響が深刻になるのは明白だ。なぜなら、労働者の賃金所得がまったく増えず、インフレ率が1.5%に跳ね上がり、挙句の果てに消費税率が3%も引き上げられるのだ。実質的に所得は一気に約5%も目減りする。「余分なものは一切買わない」という消費者行動が日本中に広がることはほぼ間違いない。この過程で、経済の大崩落が起こる。
私は、このことを昨年初来、警告し続けてきたが、その忌まわしい予測が現実味を帯び始めているのだ。
※続きはメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第836号「日本経済に恐るべき事態が進行し始めた」で。
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