<アダルブランドを各方面に拡大を>
4月から、武野重美会長・武野龍社長という2代表取締役体制に移行する。会長に就く重美氏は、工場生産指導と龍新社長のサポートを行なう。龍新社長は、営業全般から経営トータルを把握する業務に専念することになる。2人が口酸っぱく強調するのは、『ブランドを徹底波及させる使命』である。アダルの事業根幹は、業務家具の『人の手によるものづくり』である。これを蔑ろにはできない。これを社是として、『アダルブランド』の価値付けが問われているのである。
同社では13年、14年と3ブロックに分割した販売地域それぞれのマーケットセグメント戦略を推進し、アダルブランド価値である『高品質の製品に見合った適正価格』の訴求推進を強化していくという。それにより顧客の信頼を高め、強固な収益体質の確立とともに新たな成長の鍵をつかむことに挑戦しようとしている。その先頭を龍新社長が担う決意を披露しているのは力強い。
ただ、新挑戦には、社内外の大変革との一体化を推進しないと実現・実行は困難になる。
まずは、事業オーナーへの宣伝・告知を爆発的に増やすことである。オーナーにアダルの商品価値を浸透させることで、彼らの口から『アダル指名』が出ればしめたものである。そうなれば、従来のお客さまである設計事務所、内装業者も、施主に対して強気の商談が可能になる。収益も向上する。重美社長が次のように力説する。「従来の内装業者などのお客さまが儲けられるようになる環境づくりが、メーカーの第一級の使命だ」。
次に、社員の意識改革である。緊急かつ速やかになす必要がある。『アダルブランド』が高まり、大企業・ホテルへの認知度が浸透する。ところが、社員たちには相変わらず意識の変化がなく、お客廻りは従来同様であることがしばしばである。社員に堂々と胸を張って、良筋のお客さまを訪問できる自信を持たせることが重要なのだ。古参社員ほど、安易なセールス行動を選択する。若手の社員たちの方が、意識変革の余地が大きい。ここは、龍新社長の采配の妙であろう。
どうであれ、市場の変化は楽しみだ。住宅・設備の関連業界、高齢化社会を見据えた医療・介護・冠婚葬祭業界、異業者との協働を推進する飲食業界におけるマッチング提案など、市場は膨らむばかりである。新しい波動の波を見切って各方面で積極的な提案を行なえば、業績の進展は間違いない。
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<COMPANY INFORMATION>
代表取締役会長:武野 重美
代表取締役社長:武野 龍
所在地:福岡市博多区金の隈3-13-2
設 立:1968年4月
資本金:1億8,225万円
TEL:092-504-4141
URL:http://www.adal.co.jp/
<PROFILE>
武野 重美(たけの・しげみ)
1939年、宮崎県生まれ。59年に福岡のイスヤ商会に就職後、先代の死によって代表取締役に就任。91年に(株)アダルへ社名変更し、業務用家具業界で知られるようになる。95年、中国に合弁会社を設立してからは、日本と中国にそれぞれ200名の社員を抱え、日本国内はもとより世界各国へ椅子を中心とした家具の輸出を行なっている。
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