しかしあるとき、ラオスに来て気づいた。この「頭にくる」ということは、おそらくほかの皆も「頭にきていること」だろう、と。つまり、「頭にくること」とは、イコール「顧客の不満」なのだ。"顧客の不満を解消し、顧客の満足を提供する"――これこそ、まさにコトラーのマーケティングの原点ではないか?
となると、「ラオスで頭にくることが多い」ということは、「ラオスにはビジネスチャンスがたくさん転がっている」のではないか、ということに気づいた。そうすると、頭にくるたびにビジネスチャンスの可能性があると感じ、怒りを感じることがだんだん楽しくなってきたのだ。
たとえば、私の感じたラオスでの怒りとそこからのビジネスチャンスとの関係を挙げると、次のようになる。
○ラオスは公共の交通手段が脆弱で、移動が大変である。頭にきた!!
→TUKTUK(3輪タクシー)で、タクシービジネスのテストマーケティングを開始。
○ラオスの牛肉は非常に硬く、歯が折れた。頭にきた!!
→日本から和牛を輸入し、レストランへ卸す。また、ラオス国内で牧場を始める。
○ラオスのケーキは美味しくない。頭にきた!!
→ケーキの製造販売卸を行なう。現在、ビエンチャンに直営1店、卸38店舗まで拡大。
○ラオスのパンはパサパサして美味しくない。頭にきた!!
→パンの製造を始める。現在、ビエンチャンで27店舗に卸すまで拡大。
○ラオスにはお土産がない。頭にきた!!
→「ひよこサブレ」をイメージして、ラオスのパトゥーサイ(凱旋門)のかたちをしたサブレをつくる。現在、ラオスの首都空港の免税店等で、お土産として販売している。
○美味しいお昼ご飯がない。頭にきた!!
→ラオスの食品財閥ダオグループとお弁当のテストマーケティング。
○お弁当の廃棄ロス40%を受け入れてくれない。頭にきた!!
→ラオス最大の冷凍倉庫会社と、廃棄ロス0%を達成するため、冷凍弁当の開発を行なう。
何度も述べてきたが、ラオスにいると頭にくることはたくさんある。私も当初は、「いつか」「誰かが」解決してくれるのではないかと待っていたが、誰も解決はしてくれない。ないなら、自分でつくり上げるしかない。
ラオスで「待つ」は、永遠に待たされる。待つくらいなら、自分で新しいサービス・商品を開拓していくしかない。
しかし、さすがに私1人では限界がある。
この記事を読まれたビジネスマンの方々に、ぜひ経済成長8%のラオスで、弊社と共同でビジネスを起こしていただきたいと考えている。年々人口減少でマーケットが縮小している日本と異なり、8%成長のラオスだと、現状維持のままでも勝手に9年で2倍の規模になる計算だ。現在、弊社・赤坂綜合グループは、ラオスと日本の懸け橋となるよう、日々ラオスでの事業活動を行なっている。
ラオスは、人口が小さい国である。「ラオスへの進出はちょっと...」というのも、よく聞く話である。しかし、人口が小さいがためにマーケットの規模が小さく、これを逆手にとると、大手が参入しづらい国であると言える。大手が参入しづらいマーケットには、中小企業にとって大きなビジネスチャンスがあるのではないか。
今なら、日本から進出して新しいサービス・商品を提供すると、ラオスで最初となる。今からラオスでASEAN進出の経験値を積んでおけば、2015年に「ASEAN経済共同体(AEC)」がスタートした際、ASEANのセンターポイントにあるラオスから周辺のASEANの国に進出していくことで、ビジネスリスクを低くすることができる。
2050年には世界の富(GDP)の半分をアジアが占めるという、アジア開発銀行のレポートがある。ラオスはASEANの中央に位置しており、地の利がある。また、現在7%しか開発されていないラオスの水力発電の残り93%が全部完成すると、ラオスはエネルギー輸出国としてASEANのバッテリーとなる。ラオスは、「第2のブルネイ」となる可能性が非常に高いのだ。
最近、だんだんとラオスで頭にくることが減っている。ラオスのサービスが成長して進化したのか、もしくは私がラオスに同化し"ラオス人化"し始めたかの、どちらかである。ラオスに新規参入したいのならば、残された時間はあとわずかである。
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