<ママさん社員アイディアを新規企画に活かす>
マンション事業については、景況とも関係があるため状況をじっくり見極めている。とくに高騰した建築費が底を打つまでは、既存物件を購入した投資型やリノベーションも選択肢にあるようだ。
オーナーにとっては、購入した物件の利回りがマイナスでも、将来的に利益が出ると判断される物件は人気が高いという。福岡市で言えば、赤坂や大濠といった都市部に建ち、住民にとってもステータスを感じさせるものだ。
新規分譲については、そこで生活する人々へのサービス提供にまで踏み込む業態を考えたいという。手始めに今年1月、子どもを持つ女性社員を中心に5名でプロジェクトチームを結成。彼女たちが自分が住みたいと思う外観や間取り、共用部分などについて考え、アイディアを企画に反映させていくそうだ。
「営業マンの半分は女性ですし、販売成績も上々です。女性の方が細かいところに気づきますし、お客さまも安心されるようです。プロジェクトチームは彼女たちが名称から考え、仕事の進捗状況は四半期に1度報告してもらうようにしています。良いアイディアはどんどん取り入れていこうと思います」(土居社長)。
従来はどうしても男性が主体に企画を考えてきたが、実際の生活時間は圧倒的に主婦である女性の方が長い。それに購入の決済権も女性が持つケースが多いことから、仕様や企画は女性が受け入れやすい方が成約につながる可能性は高いだろう。
福岡都市圏では、20社以上のマンションデベロッパーが激しい販売競争を展開する。企業の競争力は営業力や財務体制もさることながら、マーケティングや購入者へのアプローチも重要なカギになることを、あなぶき興産九州は体現しようとしている。
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<ワンポイントPR>
分譲マンションからコーポラティブハウス、住宅型有料老人ホームにも商品を拡げる。販売のみのフロービジネスオンリーではなく、投資型やリノベーションといったストックビジネスも事業の柱に育てる。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:土居 年典
所在地:福岡市博多区御供所町2-63 あなぶき博多ビル
設 立:2007年2月
資本金:3億5,000万円
TEL:092-292-4420
URL:http://www.anabuki-k.co.jp/
<PROFILE>
土居 年典(どい・としのり)
1951年5月、香川県生まれ。大学卒業後、74年に(株)穴吹工務店に入社。執行役員不動産ソリューション事業部長、取締役、常務取締役などを歴任し、2007年6月に同社を退社。 東京ではリノベーションや投資用マンションに携わった経験から12年10月、あなぶき興産九州(株)の社長に就任。
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