福岡県糟屋郡粕屋町に、日本一の企業がある。通販サイト「楽天市場」のおせち部門で8年連続1位を獲得。2013年度は過去最高となる10万個を完売した(有)久松である。おせち通販に参入し、毎年記録を更新し続ける同社取締役常務の松田健吾氏に話を聞いた。
<楽天初年度は90個>
1982年の創業時には、わずか8坪の自宅兼調理場で仕出し料理を製造していたが、冠婚葬祭での注文が増え、さらには一次加工品のリクエストもあり、1988年、食品製造工場を開設した。鯛の姿焼きを年間2万尾以上、結婚式場に納めるなどしていた。
その後取引先からの注文が多様化し、取扱い品目も増え、福岡県糟屋郡に新社屋兼食品製造工場を新設。この年から小売のおせち製造もスタート。楽天市場に初出店したのが2004年。初年度の販売個数はわずか90個だったが、「ネットに出店するだけでも反響がある」と手ごたえは感じていた。販売個数は、翌年からは2,500、1万、3万、5万・・・と驚異のスピードで伸びた。そして、2013年度は大台の10万個を完売。8年連続でおせち部門、楽天グルメ大賞を受賞。さらに、2013年Shop Of The Yearにも輝いた。
<驚きのリピート率5割>
人気の高さはリピート率にも表れている。「一度他社に流れたお客さんがまた戻ってきてくれる」。2年越しなどを含めると、そのリピート率は5割を超える。
毎年確実に「博多久松」ファンを増やしている。同社が大切にしているのは、味や品質はもちろん、食とともにある家族の思い出である。
「正月は年に1度のイベント。おいしいのはもちろん、そのときの雰囲気やイメージを大切にしたい」。そのため、重要だと考えるのは「通販における接客」。通販では電話やメールでの受注がほとんどだが、どんなに注文が集中しても、対応をおろそかにしないよう「迅速に、丁寧に」を心がけている。
<今後は地元博多に直売店を>
松田常務は、「ネット通販は弊社が選んだ道であり、お客様が選んだものではない。今後は来店して購入したいというお客様にも対応できるようにしていきたい」と語る。
今年3月、博多駅前に通販事業部を移転した。これを機に、地元博多で飲食店や物販店を展開していきたいとの考えをめぐらす。とはいえ、同社の看板商品に油断はない。正月を過ぎた1月からすでにおせちの商品開発は始まっており、今は食材の選定のため、試食会を重ねている。今年はどんなおせちが誕生するのか、今から待ち遠しい。
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