（株）伊佐工務店

＜「業界への御恩返し」と福友会会長に結束呼びかけ、職人の明日を守る＞
　池之上代表は、12年から業界団体・福友会（福岡地区型枠工事業福友会）の会長を務めている。独自路線を歩み、馴れ合いを嫌うことで知られた同社なだけに、このニュースはちょっとした驚きを持って迎えられた。この点につき同氏は、「当初はお断りしていた」としつつも、「40年も飯を食わせてもらった業界への恩義」を口にする。業界の代表ともなれば、顧客であるゼネコンに対して苦言を呈し、皆のために矢面に立たなければならない。「口の悪い私が役に立つのであればと、柄にもないと思いながらも最終的に引き受けた」という。

　異端児をトップに据えた福友会は、その後、活発な啓蒙活動を展開している。12年当時、型枠大工の業界はどん底にあったと言っても過言ではない。異様なまでの単価安と相次ぐ事業者の倒産。現場で汗する職人の給料も、全産業の平均を大きく下回る状況に置かれていた。こうした事態を打開すべく、福友会は二度にわたりゼネコン各社への陳情周りを実施している。元請であるゼネコンに対し、適正単価の実現と社会保険料の元請負担、職人の生活を守るための諸策に関する協力を仰ぐためだ。

　また、単価安を招いた原因を正確に把握し対策を練るべく、加盟企業と膝を突き合わせて議論を重ねてきた。池之上会長は、当時の議論を「一番の責任は、我々経営者にある」と振り返り、こう続ける。「同業者ですから競争は避けられませんが、経営ができるステージで競争をしないと共倒れになってしまいます。上から指し値をされれば、それを従業員に押し付け、さらに下請に押し付ける。従業員や職人の生活を守るために突っぱねていれば、こんなことにはならなかったでしょう。末端まで染みついた『弱い者いじめの構造』に経営者が甘えた結果、自分たちの首をも絞めることになったのです」。

　誰しもが薄々気付きながら、口にできなかった現状――これを明らかにし、皆で共有する作業は決して楽なものではなかったはずだ。しかし、こうした福友会の取り組みは、今まさに芽吹きを見せようとしている。

　13年半ば頃から、型枠大工の業界を急激な上昇気流が覆っている。東日本大新震災や大雨被害の復興需要、消費税増税前の駆け込み需要などにより、建築業界の潮目が変わり始めたのだ。そこに、従来から危惧していた職人不足が顕在化し、大工職人の重要性が改めて日の目を浴びることとなった。この半年で、単価も２割以上上昇し、首都圏では５割増しも珍しくなくなっている。福岡の大工が結束して訴え続けた要望に、ゼネコン各社も耳を傾けざるを得ない状況が生まれつつある。

　「大切なのは、組合を挙げてこれをやらねばならないという強い決意であり、今この時期にやらねば明日はないという危機感なのです」と、その活動報告を結んだ福友会・池之内会長。職人の明日を守る活動の今後に、大きな注目が集まっている。

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＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：池之上　和夫
所在地：福岡県太宰府市大佐野807-47
設　立：1980年12月
資本金：2,000万円
ＴＥＬ：092-922-8611
ＵＲＬ：http://www.isa-home.jp

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