NET-IBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、民主党による政権交代と自民党の政権復帰の政治的意味を振り返り、安倍復古政治を転換する原動力を示した4月22日付の記事を紹介する。
昨日、4月21日(月)午後8時から、UIチャンネルで、鳩山友紀夫元首相との対談生放送に出演した。
テーマは、「主権者が日本を取り戻す」アーカイブ映像を視聴できるので、ぜひご高覧賜りたい。
鳩山友紀夫元首相が民主党代表に就任したのが5年前の5月である。小沢一郎代表が西松謀略事件の影響で民主党代表を辞任した。日本の既得権益は岡田克也氏を後継代表に就任させようと画策したが失敗した。民主党新代表には鳩山友紀夫氏が就任し、この年の8月30日に実施された総選挙に大勝して、政権交代の大業が成就された。
それから4年半の時間が経過した。政権交代によって実現が期待された日本政治の刷新は破壊され、旧政が復古し、時計の針は大きく逆戻しされた。
鳩山政権の運営に不備があったことは事実である。反省点はいくつもある。
しかし、そのことは、鳩山政権が目指した日本政治刷新の方向性の誤りを意味しない。むしろ、その意味はいま、さらに大きくなっていると言うべきであろう。
私たちはいま、現存する安倍政権の意味を問い直し、そのうえで鳩山政権誕生以来の4年半の年月を総括し、そのうえで、未来への展望を切り拓いてゆく必要がある。前進に挫折はつきものである。
しかし、その挫折によって希望を失ってしまっては未来が切り拓かれることはない。挫折があっても屈することなく、その挫折を教訓として次なる戦略に生かしてゆくことこそ大切である。「志あれば事成る」の言葉を胸に刻むべきである。
2006年4月に民主党代表に小沢一郎氏が就任したところから民主党の大躍進が始まった。小沢氏が提示したスローガンが「国民の生活が第一」である。これこそ、日本政治刷新の基本テーマである。主権者のための政治か、それとも既得権のための政治か、この選択が問われている。
小沢体制の下で民主党が大躍進した。既得権勢力はこの大躍進を当然のことながら強く警戒した。
小沢一郎氏を失脚させるための工作は、2009年3月に表面化する西松事件でっち上げ以前から激しく展開されていた。しかし、小沢-鳩山民主党の躍進を止めることはできなかった。
その結果として、既得権勢力は人物破壊工作の禁断の領域に足を踏み入れた。これが西松謀略事件および陸山会謀略事件である。小沢-鳩山民主党は既得権勢力の激しい攻撃を跳ね除けて、ついに2009年9月に政権交代の偉業を成し遂げた。しかし、既得権勢力の攻撃は、むしろこの後に激化したのである。
攻撃の中心を担ったのが、民主党内に潜んでいた既得権勢力であった。2010年6月の政変は、既得権勢力が主権者政権を破壊し、権力を強奪したものである。
菅直人政権、野田佳彦政権は既得権益政権であり、この政権の下で、政権の基本方針は財務省の大増税強行推進路線、対米従属路線に再転換されたのである。
そして、野田佳彦氏は背徳の消費税大増税法成立に突き進み、さらに、安倍晋三自民党に大政を奉還する背信行為に突き進んだのである。
大政を奉還された安倍晋三政権は、激しい勢いで旧政を復古させつつある。安倍政権の暴走を支えているのが、衆参ねじれの消滅である。安倍政権与党が衆参両院の過半数を確保してしまったために、主権者不在の政策が推進されている。
原発、憲法、TPP、消費税、沖縄という、日本国民の命運を左右する重大問題が、国民の同意なく推し進められようとしている。これを私は「アベノリスク」と表現している。
しばらくは、日本をこのアベノリスクが覆い尽くす状況を続けるだろう。
鳩山氏は逆にこの状況が広がることが、次の国政選挙での大きな転換、反動を生み出す原動力になるのではないかとの期待を示された。
現状に対する主権者国民の批判、主権者国民の利益に反する政治運営に対して、主権者が次の国政選挙で明確に意思を示すことが求められる。そのためには、主権者が明確な意識を持ち、かつ、積極的に行動することが必要だ。
さらに、この主権者の意思をしっかりと反映する、主権者の意思を尊重する政治家、政治集団、政党の対応が求められる。
※続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第844号「沖縄・福島知事選に主権者勢力が勝利する方策」で。
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