公正取引委員会は23日、消費増税分の転嫁拒否を行なったとして、消費税転嫁対策特別措置法に基づいて勧告を行ない社名を公表した。なお、同法において勧告・公表は最も重い措置で、昨年10月の施行後では初となった。
今回措置を受けたのは、都市圏を中心にエキナカ商業施設「エキュート」を運営している(株)JR東日本ステーションリテイリング(本社:東京都港区北青山)。今回の措置は、同社が増税後に行なった2つのキャンペーンで、結果的に、増税の負担を納入業者押し付ける形となったことによるもの。
同社では、納入業者から供給を受ける商品の仕入価格を、自社が販売する商品の販売価格に納入業者との契約によってあらかじめ定めている一定の率を乗じて算定される額として定めていたにもかかわらず、キャンペーンの実施を独自に決定し、納入業者に企画への参加を要請した。同社が行なったキャンペーンの内容は以下の通り。
(1)生活応援バザール
販売価格を3%以上引き下げた商品をショップごとに1商品以上販売すること。
(2)クオリティプライスキャンペーン
お得感を感じてもらえるよう増量した商品をショップごとに1商品程度販売すること。
消費税率引上げにともなう売上高の減少を防止するためとはいえ、これらの値下げや増量の負担分を納入業者に強いることは、同法が禁ずる「買い叩き」に当たるとされ、公取委は納入業者への負担分の支払いと再発防止といった内容の勧告を行なった。これを受け同社は、「今回の行為が買い叩きに当たるとは思わなかった。値引き分は自社で負担する」と話している。また、要請から任意参加へと修正した上で、キャンペーンは引き続き実施するという。
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