2012年５月に創業110周年を迎えた梅林建設（株）。幾多の経済環境の変化を乗り越え、県下トップのゼネコンとして、確固たる地位を築き上げている。平成時代の同社を牽引してきた梅林秀伍代表取締役社長に、現在、そして今後の建設業界をどう見るのか、話を聞いた。

＜需要高まるインフラの再整備　九州の活性化を担う＞
　――まずは、110周年おめでとうございます。土木を礎とする御社にとって、全国各地でインフラの再整備需要の高まりを見せていますが、どのように捉えていますか。

　梅林秀伍社長（以下、梅林）　たしかに、全体として案件は増えてきているようです。大分地区でインフラ整備の一番の注目となっているのは、東九州自動車道の動向でしょう。私たち地元企業の長年の悲願である大分を通り、宮崎・鹿児島に至る全長436kmの東九州自動車道は、これまで地域の発展をもたらしてきた九州の西側を通る九州縦貫自動車道に遅れを取ってきました。従来の計画では2016年の全線開通予定でしたが、昨今発生している災害対策としても、この区間の開通は地元自治体および企業から強く望まれていたものです。今回決まった大分・宮崎の全線開通は、官民一体となって継続的に国へ訴えてきたことが実ったもので、大変ありがたいことだと感じています。

　――東九州自動車道と言えば、御社も事業に携わってきた重要な案件ですね。この開発が早まること、そして開通が地元にもたらすものとはなんでしょうか。

　梅林　これまで在来線のみで高速道路もミッシングリンクでつながっていなかった状況から、九州を循環する高速道のネットワークができます。話題にもなったJR九州の「ななつ星in九州」は循環回遊型観光の１つであり、大きな経済波及効果が期待できます。ネットワークの整備によって観光産業へ良い影響が出れば、その影響が他の産業へと波及していくことも期待できるでしょう。
　また、昨今発生している自然災害時の対策としての活用が考えられます。たとえば、弊社も災害復旧に携わりましたが、九州北部豪雨のように、重要な路線が崩壊・寸断してしまった場合、経済活動がストップしてしまう地域が出てきてしまいます。復旧作業にも一定の日程がかかるため、他のルートを有していない地方にとって重大な損失になります。交通ネットワークの整備により、そうした損失を未然に防ぐことも可能となります。

　――全国の話題で言えば、東京オリンピックの開催が決定しました。業界への追い風はより強まるのではないでしょうか。

　梅林　前回の東京オリンピックから間もなく50年が経とうとしています。当時手がけられたインフラの多くが更新時期に来ており、国の政策とも相まって、巨大な市場になることは間違いないでしょう。
　ただ、インフラの更新が必要なのは、都心部だけではありません。地方には、更新作業が行なえず、通行止めになっている橋や道路すらあります。私どもも、東京に拠点がありますし、条件が合えば東京エリアのさらなる展望というものも考えてはいますが、まずは地方のそうした状況の解決が最優先だと考えています。

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