<若返りが進む九州の地銀>
ふくおかFGのトップ交代
ふくおかフィナンシャルグループ(FG)は2月25日、谷正明会長兼社長(71)が代表権のある会長となり、後任の社長に柴戸隆成副社長(59)を充てる人事を発表した。傘下(福岡、親和、熊本銀行)の頭取も一斉に交代する。2007年に3行が経営統合してふくおかFGが誕生して以来、初めてのトップ交代となる。
新社長の柴戸氏は、グループの中核である福岡銀行の頭取も谷氏から引き継ぐ。谷氏は空席だった同行の会長に就き、ふくおかFG会長を兼務する。ふくおかFGと福岡銀行のトップ交代は、6月下旬開催予定の株主総会後となる。頭取就任から来月末で丸9年を迎える谷氏は、記者会見で「ふくおかフィナンシャルグループの体制が整備され、1つの区切りができたと思い、後任にその頭取の職を託すことにした」と述べた。谷氏は昨年6月、九州の地銀では初めて全国地方銀行協会会長(任期1年)に就任している。
同席した次期頭取の柴戸氏は、「金融機関を取り巻く環境は変化が激しく気を抜けない時代になっており、創意工夫してさらに飛躍を図りたい」と抱負を語った。次期頭取に内定した柴戸氏は、修猷館高校から慶應義塾大学経済学部へ進み、1976年に卒業後福岡銀行に入行。05年に日銀出身の寺本清頭取から50年ぶりに頭取に就任した谷氏に続いての生え抜き頭取となる。
柴戸隆成氏略歴(1954年3月13日生まれ・修猷館高校卒)
1976年3月 慶応大学経済学部
1976年4月 福岡銀行入行
2001年6月 総合企画部長
2003年6月 取締役総合企画部長
2007年5月 ふくおかFG取締役
2010年4月 福岡銀行取締役副頭取
2012年4月 ふくおかFG取締役副社長(兼福岡銀行副頭取・親和銀行取締役)
西日本シティ銀行のトップ交代
ふくおかFGの社長(兼福岡銀行頭取)の交代を受けて、注目を集めていた西日本シティ銀行は4月17日、谷川浩道副頭取(60)が頭取に昇格する人事を発表。6月の株主総会後に就任する。8年間トップの座に君臨した久保田勇夫頭取(71)は会長に就く見通し。谷川氏は財務省(旧大蔵省)出身で、新藤恒男氏、久保田氏と三代続けての天下りとなる。谷川氏は11年5月に同行顧問として入行。翌月に取締役専務執行役員に就任しており、久保田氏の後継者として本命視されていた。
同行は04年10月、西日本銀行が経営状態の厳しい福岡シティ銀行を救済合併して誕生した。その2年後の06年6月に久保田氏は頭取に就任し、旧2行のシステム統合や店舗整理を進めてきた。その後、財務基盤の強化によって、10年7月には旧福岡シティ銀行に注入されていた公的資金700億円の返済を完了。同年には九州の地銀で初となる証券子会社「西日本シティTT証券」の設立や、住宅ローン相談窓口の拡充など、リテール部門を強化して攻勢に転じている。
谷川浩道氏略歴(1953年7月17日生まれ・修猷館高校卒)
1976年3月 東京大学法学部卒
1976年4月 大蔵省入省
2008年7月 財務省大臣官房審議官
〃 10月 株式会社日本政策金融公庫常務取締役
2011年5月 株式会社西日本シティ銀行顧問
〃 6月 取締役専務執行役員
2012年5月 取締役専務執行役員監査部・総合企画部
経営管理部・特命担当(現職)
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