<建設を通して地域社会に貢献する>
――災害対応をはじめ、建設業界は地域社会にさまざまな貢献を果たしています。
梅林 いまだ負のイメージがはびこる業界ですが、とくに災害対応は先駆けて行なってきました。東日本大震災以外にも、口蹄疫や鳥インフルエンザもそうです。ただ、他の業界と比べてPRなどを苦手にしているのか、すべてが公になってはいません。ほかにも、手がけてきたインフラ設備は、今や皆さんの生活の一部となっているでしょう。一度できた橋や道路が数十年と何の問題もなく利用できるのも、初めの工事だけでなく、定期的なメンテナンスを怠らず行なってきたことによるものです。利用者からは見えにくいですが、普段の生活に欠かせない部分を担っていると言っても過言ではないと思います。そのためには、必要なところに必要なだけの公共投資が行きわたる選択と集中が必要でしょう。
――建設産業への追い風が吹いている状況のなかで、とくに重視していかなければならない点はありますか。
梅林 全国的に言われていることですが、技術者不足―とくに入り口の部分で言えば、若手の入職者が明らかに減っている事実があります。建設業界は技術の継承があってこそ成り立ってきました。人材の育成には時間も費用もかかりますが、迅速に解決しなければならない問題です。全国建設業協会をはじめとした業界各団体において、建設業の在るべき姿を取り戻すため、解決策を進めています。資源がないと言われる日本において、ものづくりの精神を常に持っていたからこそ、技術大国とまで呼ばれるようになった経緯があります。肝心の人がいなくては、その精神を大事にすることもできません。大分県の一企業として、その精神を後世へと引き継いでいくこと、そして将来を担う人材の育成という面で貢献できればと考えています。
――最後に、梅林社長の見据える今後の御社と業界について教えてください。
梅林 建設業界は昔から、ピラミッド型の重層構造から成り立っていると言われています。私は、大手からいわゆる一人親方などの重層構造となる企業いずれも、それぞれ役割があると考えています。ただ、それら各社が役割を達成するためには、新規参入を抑制する入り口対策や価格以外の評価方式の確立が不可欠です。確実に実績を重ねた高い技術力を有した企業が、適正な価格で公共工事を手がけること、これが無駄のない公共投資であり、各社が目指すべき姿だと考えます。
先人たちが惜しまず地域社会に貢献してきたからこそ、今の会社があるのだと感じております。これからも、地域の発展とともに歩みながら、必要とされる企業として尽力してまいります。
弊社は一昨年で110周年を迎えました。ただ、適切な準備を行なったうえで挑戦するという意思をなくすつもりはありません。チャレンジ精神を持った企業が地方から出てくることは、単なる競争だけでなく市場の活性化をもたらします。地域の発展とともにあり続ける業界の一企業として、今後も展開していく所存です。
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:梅林 秀伍
所在地:大分市舞鶴町1-4-35
設 立:1940年10月
資本金:4億5,000万円
TEL:097-534-4151
URL:http://www.umebayashi.jp/
<プロフィール>
梅林 秀伍(うめばやし・しゅうご)
1941年生まれ。同業での経験後、70年4月梅林建設(株)へ入社。役員を歴任後、83年6月に同社代表取締役に就任。建設業界内だけでなく、地元経済団体などの役員としても活躍している。
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