<九州地銀トップの顔ぶれ>
福岡を本拠地とするふくおかフィナンシャルグループ(福岡銀行)および西日本シティ銀行の若返りによるトップ交代によって、九州の地銀18行の頭取の顔ぶれは下表の通りとなる。両行の頭取交代は、今後予想される九州の地方銀行金融再編の序章であり、その影響は計り知れないものがある。
この表から見えるものは、福岡銀行の谷頭取は早稲田大学出身であったが、今回、慶応大学出身者の柴戸氏と交代する。そのため、慶応大出身者が1名増加し6名。また、西日本シティ銀行の谷川氏も久保田頭取と同じ東京大学出身であり、東大出身が3名。九州地銀18行のうち、この2つの大学出身者で半数のポストを占めることになる。
<今後予想される九州地銀の金融再編>
九州の地方銀行は、人口の減少や地域経済の縮小により地銀の経営環境は厳しさを増しており、全国的に見ても金融再編が一番遅れていると見られている。
九州地銀18行の勢力図は次の通りとなる。
ふくおかフィナンシャルグループ(FG)
福岡銀行・熊本銀行・親和銀行・福岡中央の4行
西日本シティグループ
西日本シティ銀行・長崎銀行・豊和銀行の3行
山口フィナンシャルグループ(FG)
北九州銀行
独立系の銀行
肥後銀行・鹿児島銀行・大分銀行・十八銀行・宮崎銀行・佐賀銀行・南日本銀行・筑邦銀行・宮崎太陽銀行・佐賀共栄銀行の10行
九州では、ふくおかFG(福岡・熊本・親和・福岡中央銀行)と西日本シティ銀行グループ(西日本シティ・長崎銀行・豊和銀行)の2大勢力がしのぎを削っている。
また、2011年10月に山口FGが北九州銀行を新設し九州での勢力拡大を目指しており、その勢力争いは一段と厳しさを増している。そのため、九州の地銀が今後生き残るには、金融再編の道を歩むしかないとの見方が有力となっている。
そのようななかで、九州を代表するふくおかFGと西日本シティ銀行のトップ交代である。西日本シティ銀行の頭取となる谷川氏は、畑中龍太郎金融庁長官と76年に大蔵省に入省した同期である。また、ふくおかFG頭取(兼福岡銀行頭取)となる柴戸氏と谷川氏は、ともに修猷館高校の同期生である。つまり、高校の同期生2人がそれぞれの銀行のトップとなって覇を競い合うことになる。金融庁出身の谷川氏がどのような構想を持って九州地銀の再編を進めるのか、それとも九州地銀の盟主として君臨するふくおかFGの柴戸氏がどこの銀行と手を組むのか、その手腕が問われることになる。
また、今までは各県のトップバンクとして君臨していた肥後銀行や鹿児島銀行、宮崎銀行などの第一地銀が、畑中金融庁長官の「ジリ貧の経営から抜け出すために経営トップとして打つべき手を打て」の言葉を深刻に受け止め、第三勢力を形成できるかどうかが焦点となる。畑中長官が投じた一石によって、九州地銀の金融再編は県境を越えて一気に進むことになりそうだ。
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