2010年1月に合併により誕生した糸島市は、福岡市に隣接していながらも豊かな自然に恵まれており、近年は各メディアに頻繁に取り上げられることもあって、一躍脚光を浴びている。これから糸島市は、どのように変貌を遂げていくのか。今年2月に新たに糸島市長に就任した月形祐二氏に、これからの糸島市のまちづくりや市政の方向性などについて話を聞いた。
<まず第一にブランド糸島の確立を>
――糸島市長に就任されて、ようやく2カ月ほどが経ちました。この間の感想などはいかがですか。
月形祐二氏(以下、月形) 非常に忙しい、というのが一番の感想ですね。県議会議員時代であれば、自分の担当の常任委員会や本会議などの活動が主でした。ですが、市長ということになると、すべての分野において勉強しなければなりません。知らないということが許されないのが、市長の職務だと感じます。ですから、そのためのレクチャーなども含め、非常に多忙な日々を2カ月間送らせてもらったな、と思っています。
――県議時代と比べると、視点がだいぶ違ってきたという感じですか。
月形 県議時代は、福岡県全体について考えなければなりませんから、そういう視点で物事を見ていました。一方で今は、糸島市のトップになりましたので、糸島市という限られたエリアながらも、市の全体を見わたさなければなりません。その意味では、視点と言うか、見方がだいぶ違っているというのは感じますね。
――そのなかで、月形市長は今年の所信表明として、11の基本方針を立てておられます。もちろんすべてが重点項目でしょうが、なかでも「これは」というものがあればお聞かせください。
月形 今回掲げた11の基本方針のなかでも、私は「ブランド糸島を確立する」ということを第一に考えています。
糸島市は現在、合併から4年が経ちました。それまで前原市や二丈町、志摩町にそれぞれあった、海岸線の良さや山の魅力といったすばらしいものが、合併した糸島市という1つの自治体のなかにすべてあります。ふと気づくと、福岡市から40分くらいの距離に、これだけのすばらしい自然――海も山も田園風景までもが1カ所にあることが、合併した糸島市の強みとなっています。現在は、福岡市に住む方々にも「糸島市に行ったら自然の魅力がすべてそろっている」と認識していただいており、松本前市長のもとでそういった情報を発信していった結果、多くの皆さまに糸島を知っていただき、評価していただいていると感じています。
ただ私は、今の状況はある種のブームではないかとも思っています。しかし、皆さまからいただいた評価を、ブームで終わらせるわけにはいきません。福岡都市圏だけではなく、全国に対して糸島の魅力を知っていただくというのが、私がやっていきたいと考え、常々皆さまに一番にお話をさせていただいていることです。
――糸島に対する反応というのは、段々と伝わってきていますか。
月形 糸島には、今言ったようなすばらしい自然があり、そしてそこから生み出される食材もまたすばらしく、私自身も誇りに思っています。福岡都市圏においても、「糸島産」と言えば皆さんから期待していただけるほどレストランなどで使っていただいているようです。そういった意味では、「糸島=新鮮で豊富な食材」が浸透してきていると感じます。
そのため我々行政としても、今、関東などでやっていただいている「糸島フェア」などのイベントを、今後はもっと全国的に広げていきたいと思っています。
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▼関連リンク
・糸島市HP
■所信表明
(1)"ブランド糸島"の確立
(2)九州大学の知的・人的資源を生かした学術研究都市の構築
(3)子育て支援と特長ある学校教育の充実
(4)"住みたい、住み続けたい"定住の促進
(5)"元気で長生き"市民の健康づくり
(6)農林水産業、商工業の振興と働く場の創出
(7)自助・共助・公助による災害に強いまちづくり
(8)糸島が誇る自然環境の保全と文化の継承
(9)快適な生活環境の整備
(10)人権尊重のまちづくり及び男女共同参画社会の推進
(11)行政改革による足腰の強い財政運営
<プロフィール>
月形 祐二(つきがた・ゆうじ)
1958年生まれ。83年3月に西南学院大学法学部卒業後、一般企業への就職を経て、86年から衆議院議員・太田誠一氏の秘書を務める。その後、2003年に福岡県議会議員に初当選。3期を経た後、14年2月に糸島市長に就任した。
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