東京は巨大なマーケットであり、ビジネスチャンスは果てしない。それ故に、当然のことながら過当競争にさらされる。地方の企業が参入して成功を収めるためには、あらゆる面において用意周到でなければならない。
しかし、何よりもまず強さを求められる。人であろうと、企業であろうと、強さの原点は個性である。他社にはない、もっと言えば、唯一無二の製品があれば、圧倒できるかもしれない。あるいは他社の追随を許さない性能を備えた製品を開発すれば、勝てる可能性は高くなるだろう。
だが、identity(主体性、独自性)が確立されているだけでは不充分である。いかにしてそれを伝え、マーケットに反映させるか。つまりは営業力だ。
営業の基本はspirit(気迫)であり、drive(気力)である。つまりはやる気の度合いだ。やる気はambition(野心)から生まれ、成功への飽くなき執念は製品に対するadoration(崇拝の念)によって、より強固なものとなる。また、sensibility(感性)も欠かせない。営業はコミュニケーションである。どんなにうまくプレゼンテーションができても、相手に伝わらなければ意味がない。
プレゼンテーションにはうずきの3原則がある。うずきとは「宇図気」にほかならない。宇とは天の覆うところ、器である。営業マンに器、存在感があればこそ、耳を傾ける気になるのだ。図とは文字通り図面、内容の全体像である。伝える内容が映像化できているかである。気は相手の心の動きを読み取る洞察力である。この3つを兼ね備えていなければ、千載一遇の機会をものにすることはできない。
また、うずきにはときめきが不可欠である。ときめきとは「時眼気」である。天の時を察知するセンサーと、未来を見る眼、visionと気概、気骨。うずきはときめきと融合し、ひらめきを呼ぶ。ビジネスという千変万化の時空間で、最後にものを言うのは、その場に必要なひらめきである。臨機応変に対応できなければ勝ち抜くことはできない。
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<プロフィール>
中島 淳一(なかしま・じゅんいち)
1952年、佐賀県唐津市出身。75~76年、米国ベイラー大学留学中に英詩を書き、絵を描き始める。ホアン・ミロ国際コンクール、ル・サロン展などに入選。日仏現代美術展クリティック賞(82年)。ビブリオティック・デ・ザール賞(83年)。スペイン美術賞展優秀賞(83年)。パリ・マレ芸術文化褒賞(97年)。カンヌ国際栄誉グランプリ銀賞(2010年)。国際芸術大賞(イタリア・ベネチア)展国際金賞(10、11年)、国際特別賞(12年)、国際美術大賞展・日仏賞(13年)など受賞多数。
詩集「愁夢」、「ガラスの海」、英詩集「ALPHA and OMEGA」、小説「木曜日の静かな接吻」「卑弥呼」、エッセイ集「夢は本当の自分に出会う日の未来の記憶である」がある。86年より脚本・演出・主演の一人演劇を上演。企業をはじめ中・高校、大学での各種講演でも活躍している。福岡市在住。
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