佐藤康博みずほフィナンシャルグループ(FG)社長(兼みずほ銀行頭取)は今年1月、「委員会設置会社」に移行するため、「グループの役員の人事体制と社外取締役の選任は3月末までに終える」と明言していた。グループの役員の人事体制は3月中旬に決まったものの、要の社外取締役の選任は難航して決まらなかった。
<1.「委員会設置会社」移行への経緯>
遅れること20日余り経った今月22日、みずほFGは社外から起用する取締役会議長に第一次安倍内閣などで経済財政担当大臣を務めた大田弘子氏(60歳)を迎える人事を発表した。
新しく社外取締役に選任されたのは大田氏のほか、日立製作所の前会長の川村隆氏(74歳)、弁護士の甲斐中辰夫氏(74歳)の社外取締役への起用を発表した。これにより社外取締役は計6名となり、取締役13名の約半数を占めることになる。
そもそもみずほFGが委員会設置会社に移行するきっかけとなったのは、傘下のみずほ銀行の不祥事だった。それは昨年9月、みずほ銀行が系列の信販会社オリエントコーポレーションを窓口として暴力団関係者らへの融資を放置していた問題が発覚。それを受けて翌10月に金融庁に業務改善計画を提出していた。
しかしその後経営トップが問題を把握していた事実を同庁に報告していなかったことが露見。そのため態度を硬化させた金融庁は昨年12月、一部業務停止や改善命令などの追加処分に踏み切ったため、みずほFGは今年1月17日、再度業務改善計画を提出する事態となった。
佐藤みずほFG社長は同日記者会見し、「改めて深くお詫びする」と謝罪。また「この不祥事を教訓に取締役会議長を社外取締役に委ねるなど外部のチェック機能を高め、再発防止を図るため、6月に委員会設置会社に移行する」と表明した。
その際「自身は続投し全力を尽くす」との発言が世間の批判を浴び、1週間も経たない23日、再び記者会見し、「4月1日付で兼務するみずほ銀行頭取を辞任し、後任に林信秀副頭取(56歳)が昇格し、自らは代表権のない取締役に退く。みずほFG社長として6月に委員会設置会社に移行するために、不退転の決意を社外ならびに全社員に示す必要があり、グループの役員の人事体制と社外取締役の選任は3月末までに終える」と言明していた。
しかし3月14日になって、4月1日付で幹部人事の異動は発表したものの、肝心の委員会設置会社へ移行する社外取締役の人選は先送りすることになり、佐藤社長のリーダーシップが問われる事態に陥っていたのだ。
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